最新記事

人権

トラブル絶えない日本の入管収容所、海外からも人権軽視と厳しい視線

2016年3月13日(日)13時54分

 アムネスティー・インターナショナル日本の山口薫氏は、イギリスなどと比べ、日本は被収容者の人権より、彼らを管理しやすいシステムにすることが重視されている、という。外部とのコミュニケーションが制限されるなど「他の国からすれば、刑務所と同様な扱いだと批判をされかねない」と指摘する。

 一方、監視役を務めるべき視察委員会が十分に機能していないという批判もある。委員を任命する権限が法務大臣にあり、報告書作成など事務的な作業を法務省職員が行う。収容所を視察する際は、あらかじめ決められたスケジュールで訪問し、入管職員立ち合いのもとで視察が行われることなど、「法務省の丸抱え」が公平性や独立性を損なっているとの指摘だ。

 昨年2回、日本の入管施設を見学した英国王立刑事施設視察委員会のヒンパル・シン・ブイ主任査察官は日本の視察委員会について「もっと牙(厳しい対応)が必要だ。抜き打ちでの視察や委員会の判断でレポートを公表する権限が欠けている」と述べた。視察委員会の運営については、米国務省が発表している各国の人権状況に関する報告書の中でも、問題点として指摘されている。

 しかし、ある現役の視察委員は、ロイターとのインタビューで、匿名を条件に、視察委員会の存在意義は、収容所に対する批判をかわすための「ガス抜きにすぎない」と指摘。法務省が視察委員会の提言を受けて医療体制を見直す可能性は低いとして、早急な事態改善が望めない厳しい実情を強調した。

 (舩越みなみ、Thomas Wilson、宮崎亜巳、斎藤真理; 編集:北松克朗)

[東京 9日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、米株高や円安が支援 半導

ビジネス

米融資需要、25年第4四半期は14四半期ぶり高水準

ワールド

マンデルソン英上院議員、米富豪から金銭授受し情報提

ワールド

共和党は投票を「米国に取り戻す」べき、トランプ氏が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 6
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 10
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中