最新記事

インタビュー

事業に必要な人を口説き落とせる、それが本当のリーダーシップ

2016年2月26日(金)17時36分
WORKSIGHT

マネジメントを意識しないゆるさが風通しのいい雰囲気を作る

 おっちゃんたちに対してだけでなく、一緒に活動するメンバーに対しても基本の接し方は同じでマイペースですね。

 マネジメントは得意ではないんですよ。他のメンバーが私を分析していうには、「のほほんとしている」とか「ぐでんとしてる」とか(笑)。私がゆるい雰囲気なので楽でいられるみたいです。

 リーダーシップって、何かしたいと思ったときに必要な人を口説けるかどうか、そういうときに真価が問われるんじゃないかと思います。私はそもそも内気なタイプで、うちの団体に入ってと勧誘するのも苦手なんですけど、ここぞというときは恋人を口説くぐらいの思いでぶつかった方がいいとアドバイスされたことがあって、それは胸に刻んで自分を奮い立たせています。

 今後もまだまだ活動を充実させていくつもりです。準備中のプロジェクトに、ホームレスになる入口を封じる一策としてのシェルター設立があるんです。ホームレスになりそうになった人が最後の1,000~2,000円のお金をはたいて何をするかというと、ネットカフェやファーストフード店にとどまって何とか踏ん張る。でも、これはお金の使い方としてもったいないので、あの場所に行けばとりあえず大丈夫と思えるシェルターを作りたいんです。

 それぞれの居室、温かい食事が用意されていて、医療スタッフも常駐している。そこに住民票を持つことができて、働きながら生活できる、そういう自立を導くための場所です。設立には多額のお金が必要なので、企業さんの協力も仰いでいきたいですね。数年後をめどに実現できればと思っています。

WEB限定コンテンツ
(2015.6.23 大阪・コクヨ梅田オフィスにて取材)

wsHomedoor_site.jpgNPO法人「Homedoor(ホームドア)」は「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造を作る」ことをビジョンに掲げ、野宿生活者(ホームレス)をはじめとする生活困窮者への就労支援・生活支援、ホームレス化予防事業、ホームレス・生活保護問題に関する啓蒙活動などに取り組んでいる。拠点は大阪市北区。2010年4月設立。http://www.homedoor.org

* 他のシェアサイクルの事業者との相互乗り入れも実現し、自転車数は全体で115台ほど。拠点数は18カ所。(2015年6月現在)

** 収入
Homedoorが支払う賃金は時給838〜950円。就労者は都合に合わせて週1~5日、1日8時間程度を限度に働くことができる。

*** HUBgasa
寄付された不要なビニール傘をホームレスの人や生活保護受給者がリメイクして販売する。(写真提供:Homedoor)
wsHomedoor_7b.jpg

wsHomedoor_portrait.jpg川口加奈(かわぐち・かな)
1991年、大阪府高石市生まれ。大阪市立大学卒業。14歳でホームレス問題に出会い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しや100人ワークショップなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、シェアサイクルHUBchari事業等でホームレスの人や生活保護受給者累130名以上に就労支援を提供する。世界経済フォーラム(通称・ダボス会議)のGlobal Shapersや、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013若手リーダー部門にも選出される。

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
wslogo200.jpg


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英BP、カストロール株式65%を投資会社に売却へ 

ワールド

アングル:トランプ大統領がグリーンランドを欲しがる

ワールド

モスクワで爆弾爆発、警官2人死亡 2日前のロ軍幹部

ビジネス

日経平均は4日ぶり小反落 クリスマス休暇で商い薄く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中