最新記事

ASEAN

日本・インドネシア、南シナ海の安定で一致も、中国めぐり温度差

ASEAN加盟国と初の外務・防衛閣僚会合で対中包囲網を狙った日本の目論見はずれる

2015年12月18日(金)10時04分

12月17日、日本とインドネシアは初の外務・防衛閣僚会合を開き、南シナ海の安定で協力することで一致したが、中国をめぐっては温度差も見られた。昨年11月北京で行われたAPEC会合で、写真撮影に臨むインドネシアのジョコ大統領(前列左端)、安倍首相、中国の習近平国家主席(中央)ら各国首脳(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 日本とインドネシア両政府は17日、初の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開いた。日本は対中国で東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化を目指しており、今回も南シナ海の安定に向けて協力することで一致した。

 一方で、中国と領有権争いのないインドネシアとの間には、温度差も垣間見えた。

 日本がASEAN加盟国と2プラス2を開くのは初めて。日本側は、南シナ海の人工島20カイリ内に艦船を派遣した米国の「航行の自由作戦」への指示を表明したほか、ASEANが一つになって声を挙げることの重要性を強調した。

 インドネシア側も、南シナ海で領有権を争う国々に国際法の順守を呼びかけたり、一方的な現状変更をしないよう求めていくなどと応じた。しかし、会談後の記者会見では「以前より中国の姿勢は強硬なものではなくなった」(リャミザルド国防相)など、中国を刺激することを避けるような発言もあった。

 会合では、日本からの防衛装備輸出に必要な協定の締結に向けて協議を始めることで合意した。インドネシア側からは、水上で離発着できる海上自衛隊の救難飛行艇「US2」への関心が示された。単に日本から輸入するのではなく、技術移転を求めている。

 (久保信博)

[東京 17日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、20万8000件と横ばい 4月

ビジネス

米労働生産性、第1四半期は0.3%上昇 伸び鈍化も

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中