最新記事

東アジア

韓国与党で強まる朴大統領の包囲網

政権3年目で支持率が急落するなか、セヌリ党内部で「反朴派」が勢いを増している

2015年3月2日(月)12時25分
スティーブン・デニー

崖っぷち 内政の失策が続き、朴大統領は矢面に立たされている Kim Hong-Ji-Reuters

 支持率が急落している朴槿恵(パク・クネ)大統領と距離を置く「非朴派」が、韓国の与党・セヌリ党内部で力を増している。

 先週セヌリ党が行った党内選挙で、国会運営を取り仕切る院内代表に劉承ミン(ユ・スンミン)議員、政策委員会議長に元裕哲(ウォン・ユチョル)議員と、非朴派コンビが当選。2人は議員投票数149票のうち84票を獲得し、親朴派の候補に圧勝した。

 セヌリ党は朴政権への圧力を強めることになりそうだ。朴政権は内政で失策が続いている上、閣僚にも問題が相次ぎ、党との関係が悪化している。

「増税なき福祉」をやり玉に

 14年7月に党代表に選出された金武星(キム・ムソン)も非朴派だ。前回の大統領選で朴の選対本部長を務めながら、17年の大統領選に出馬する可能性がある。与党の支配権を掌握して、大統領に公然と挑戦するとみられている。

 金が朴政権の後ろ盾といわれる人物を破った党代表選の結果は、朴政権に対する党のいら立ちを示す最初の兆候だった。金と院内代表に選出された劉は、大統領府にとって手ごわい相手だ。韓国メディアはこの2人の指導部を「非朴系ツートップ体制」と呼んでいる。

 非朴系が大統領府をどのように責め立てるのか、具体的にはまだ分からない。それでも、朴が強く打ち出している「増税なき福祉」をやり玉に挙げることは間違いないだろう。当選後の記者会見で劉は「『増税なき福祉』という政府の方針は変えなくてはならない」と語っている。

From thediplomat.com

[2015年2月17日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本の国債管理政策、マーケットとの対話は世界一緊密

ビジネス

午前の日経平均は反落、米ハイテク株安を嫌気 TOP

ワールド

中国、岩崎茂元統合幕僚長に制裁 ビザ制限・資産凍結

ワールド

原油先物は反発、米・ベネズエラ緊張化による供給途絶
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中