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テロ対策

ISIS支持の投稿だけで逮捕されるイギリスの治安事情

2015年2月19日(木)16時36分
コリーン・パーティル

 イギリスのテロ対策当局は昨年6月、国内で活動が禁止された65の国際テロ組織のリストにISISを追加した。このリストはアメリカのテロ組織リストと同様のものだが、ネット上の活動に対する取締りはアメリカより厳しい。

 イギリスの法律では、認定リスト入りしたテロ組織に資金などの援助を提供すれば逮捕されるだけでなく、何らかの形で支持を表明しただけでも逮捕される。テロ組織に公式に加わることはもちろん、メンバーを自称することも禁止されている。テロ組織のメンバーが行う集会に参加することも犯罪になる。そればかりか、テロ組織を支持しているという「合理的な疑いを引き起こす」ような服装をし、所持品を持つなど、何らかのサインを示すことも禁止されている。

 実はこうした法律は、現在の対テロ戦争が始まる数十年前、北アイルランド紛争時にテロ対策として制定されたものだ。当時はイギリス国内でも爆弾テロが頻発した。そのためイギリスはISISなどの国際テロ組織リストとは別に、アイルランド共和国軍(IRA)をはじめ14の北アイルランド関連のテロ組織リストを策定している。

 IRAのテロが吹き荒れた当時は、テロ組織がソーシャルメディアを通じて若者たちをリクルートすることも、若者たちが(ときには悪ふざけで)テロ組織への忠誠をツイートすることもなかった。今やソーシャルメディアは対テロ戦争の主戦場になっている。

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