最新記事

セックス

コンドームいらずの男性用避妊法まであと少し

注射1本でパイプカットと同様の効果があり、必要なときに生殖機能を回復できる新技術

2014年9月11日(木)16時21分
マリア・カーン

もう用なし? 大手コンドーム・メーカーが開設したコンドームの博物館(台湾・新北市) Pichi Chuang-Reuters

 コンドーム不要の男性向け避妊法「ベイサルジェル」が2016年〜17年に実用化にこぎつける見込みだ。この技術の普及を支援しているパーセマス財団によると、ヒヒを使った実験では有効性が確認されている。

 パーセマス財団は製薬業界が取り上げない「埋もれた先進的医学研究」を支援し、低所得層や途上国の人々が利用できる低価格帯の医薬品を開発する目的で設立された。

 ベイサルジェルはホルモン剤を使用せず、効果が長続きする避妊法として注目されている。パイプカット(精管切除)と同様の永続的な避妊法だが、画期的な利点がある。生殖機能を簡単に回復できることだ。

「メスを使わないパイプカットのようなものだが、精管を切断するのではなく、精管にゲル状ポリマーを注入する」と、パーセマス財団は説明している。精管内のポリマーを通過すると、精子が破壊される仕組みで、「何カ月、あるいは何年か後に子供が欲しくなったら、再び注射してポリマーを流し出せばいい」という。

 ヒヒを使った実験では、ベイサルジェルを注入した3頭のヒヒをそれぞれ10〜15頭の雌と一緒にして6カ月間観察したが、今のところ妊娠した雌は1頭も確認されていない。

 次の段階として、ヒヒの精管からポリマーを流し出し、生殖機能が回復することを確かめる実験が近々実施される。

 ヒヒを使った実験が順調に進み、デービッド・アンド・ルシール・パッカード財団から助成金が下りたおかげで、来年初めまでには人間の男性を対象に臨床試験を実施できる見通しになった。

 ベイサルジェルの価格は、途上国でパイプカットなどの避妊法を受ける場合とほぼ同じレベルに設定し、アメリカでの相場より安くしたいと、パーセマス財団は述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国のデジタル人民元、26年から利子付きに 国営放

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、11月は3.3%上昇 約3年

ワールド

ロ、ウ軍のプーチン氏公邸攻撃試みを非難 ゼレンスキ

ワールド

ウクライナ「和平望むならドンバス撤収必要」=ロシア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中