最新記事

南アフリカ

英雄マンデラに最期の時が迫る

反アパルトヘイト運動を成功させた闘士の旅立ちを世界が固唾を飲んで見守っている

2013年7月9日(火)16時30分

容易ならざる死 大統領府は否定しているが、マンデラは植物状態にあるという報道もある Dylan Martinez-Reuters

 27年間を獄中で過ごしながらも、反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動を成功に導いた不屈の闘士。南アフリカ初の黒人大統領として人種間の融和を推し進め、ノーベル平和賞に輝いた民主国家建設の父──肺の感染症で6月上旬に入院した南アのネルソン・マンデラ元大統領(94)が、先週から危篤状態に陥っている。

 首都プレトリアの病院周辺では回復を願う支持者が大勢集まり、ろうそくに火をともして国歌を合唱。壁に肖像画が描かれたヨハネスブルク市内の元の自宅(写真)をはじめ、マンデラゆかりの地には多くの花束やメッセージが寄せられ、各地の教会で人々が祈りをささげている。

 先週のアフリカ歴訪で南アを訪れたバラク・オバマ米大統領にとっても、マンデラは特別な存在だ。1970年代末、大学生だったオバマはマンデラの闘いに感銘を受け、反アパルトヘイト運動の支援活動に参加。09年に自身がノーベル平和賞を受賞した際にはスピーチでマンデラの名を挙げ、「偉大な過去の受賞者に比べれば、私の功績など微々たるものだ」と語った。

 人種を超えて多くの国民に慕われ、世界から尊敬を集めた南アの英雄に、最期の時が静かに近づきつつある。

[2013年7月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中