最新記事

アフガニスタン

働くだけで命を奪われるアフガン女性

銃撃や爆弾テロなどで次々と犠牲になっても、女性たちには護衛も付かない

2012年12月11日(火)17時16分
ファイン・グリーンウッド

怒りの拳 頻発する暴力に怒りの声を上げるアフガニスタンの女性たち(今年9月、カブール) Mohammad Ismail-Reuters

 今週東部のラグマーン州で、州女性局の局長代理を務めるナディア・セディッチが殺害された。自宅近くで人力車に乗ろうとしたところを撃たれたという。犯人はまだ分かっていない。この事件で、政府機関に勤務する女性職員が直面する危険が、改めて浮き彫りとなった。

 セディッチの前任者のハニファ・サフィもまた、今年7月に爆弾テロで殺害された。テロではサフィの夫も死亡した他、11人が負傷した。サフィは何度も警察に護衛を求めていたが、その要求は無視され続けた。

 セディッチ殺害の捜査は開始されたが、政治的背景があるかどうかはまだ不明だ。

 アフガニスタンでは、多くの政府機関の女性職員が護衛も付かないまま働いている。このためイスラム過激派をはじめ、女性の就労に反対する勢力から攻撃対象にされている。

「こうした事件は初めてではない。過去10年で、公職に就くアフガニスタンの女性が何人も暗殺されている」と、人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルはサフィ殺害に関してコメントしている。「一般市民を狙って殺害するのは、おぞましい行為だ」

 アフガニスタンでは今週、南西部ニームローズ州でも、州警察長官が爆弾テロで殺害されている。しかしこの事件も誰が犯人かはまだ分かっていない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア外相・国防相がプーチン氏と会談、国防や経済協

ビジネス

円安進行、何人かの委員が「物価上振れにつながりやす

ワールド

ロシア・ガスプロム、26年の中核利益は7%増の38

ワールド

英、農業相続税の非課税枠引き上げ 業界反発受け修正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中