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ロンドン五輪

中国水泳、男子より速い世界新は本物か

米コーチが「疑わしい」と語った泳ぎは、後になってドーピング判定を受ける歴史をまた繰り返すのか

2012年7月31日(火)15時23分
エレン・コナリー

実力よ! 薬物使用の疑いを完全否定した葉(右) David Gray-Reuters

 アメリカの競泳コーチ、ジョン・レナードはその16歳の泳ぎを見て言った。「疑わしい」──96年アトランタ五輪でのアイルランド代表ミシェル・スミスの泳ぎを見たときの「恐ろしい思い出」がよみがえったと、英ガーディアン紙に語った。スミスは98年、ドーピング検査でステロイドが検出され、以後4年間、大会出場が禁止された。

 いまロンドン五輪のプールで話題になっているのは、女子400メートル個人メドレーで驚異の世界新記録で優勝した、中国の葉詩文(16)。ラスト25メートルのタイムは、男子400メートル個人メドレーを制したアメリカのライアン・ロクテより速かった。

 世界水泳コーチ協会の理事も務めるレナードは、葉の泳ぎを「疑わしく、絶対にあり得ない」と評した。これに対し、葉は薬物使用の疑いを完全に否定している。「ドーピング検査を受けても何の問題もない。中国チームは薬物使用に関して、常に厳格な方針をとってきている」

 レナードは「ドーピングという言葉を使うには慎重になるべきだ」と語ったが、こうも付け加えた。「ただこれだけは言える。私たちが『信じられない』泳ぎを見たときは、後になってドーピングが絡んでくることを、競泳の歴史が証明している」

 葉の体格は「まるでスーパーウーマンのよう」だと、レナードは言う。「競泳の歴史でスーパーウーマンに見えた者は、いつも後になってドーピングで黒と出るものだ」

 こうしたレナードの発言は五輪における中国とアメリカの緊張関係をあおりかねない。中国は近年、スポーツ選手の養成・強化に巨額の資金をつぎ込み、4年前の北京五輪では、金メダル獲得数で初めてアメリカを上回った。王座を死守したい中国と奪還を狙うアメリカが、場外乱闘を起こさなければいいが。

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