最新記事

中国

外国人を排斥する中国政府の狙い

「怪しい外国人」への逆風が強まり出したのは、国民のナショナリズムを煽るため?

2012年6月22日(金)15時12分
ベンジャミン・カールソン

締め付け 光誠事件を追う外国人記者を監視する警官(北京) Carlos Barria-Reuters

 北京に住む外国人は最近、パスポートなどの身分証明書を常に携帯している。いつ警官に呼び止められ、書類の提示を求められるか分からないからだ。

 今月初め、北京市内の路上でイギリス人男性が中国人女性を襲おうとした事件が発生。止めに入った通行人に殴られ、気を失った男の様子の映像がネットに流れ、大きな反響を呼んだ。

 その数日後、北京市公安局は不法滞在・就労外国人の集中的取り締まりを100日間かけて行うと発表。怪しい外国人を見掛けたら、ホットラインに通報するよう中国版マイクロブログ、新浪微博(シンランウェイボー)で市民に呼び掛けた。新浪微博には、これを熱狂的に歓迎する声が寄せられている。

 その一方で、人権活動家・陳光誠(チェン・コアンチョン)への弾圧で国際社会の批判を浴び、秋の体制交代を控える共産党が支配固めのために排外主義をあおっているとみる向きもある。

 南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権をめぐるフィリピンとの対立でも、政府寄りメディアの扇情的な報道が目に付く。こちらも、国民の間でナショナリズムを高揚させる狙いがあるようだ。

From GlobalPost.com

[2012年5月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中