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イスラエルの過激なアフリカ系移民排斥運動

6万人の不法移民が流入して治安が悪化、イスラエル市民との対立はついに流血の事態に

2012年6月5日(火)17時09分
トリスタン・マコネル

深い溝 移民の国外追放を訴えるデモが相次いでいる(5月30日) Baz Ratner-Reuters

 イスラエルはアフリカ諸国からの不法移民が押し寄せる移民大国。貧困国からの経済難民や母国での政治的抑圧を逃れてきた亡命者など、およそ6万人ものアフリカ系移民が暮らしている。
 
 だが、彼らの存在はイスラエル社会にとって頭痛のタネ。犯罪の増加や社会の不安定化の元凶だとして、アフリカ系移民に対する市民の反感は爆発寸前に高まっている。

亡命希望者は砂漠の真ん中に収容

 ベンジャミン・ネタニヤフ首相は6月3日、エチオピアやガーナ、コートジボアール、南スーダンなどから来た不法移民2万5000人を迅速に国外追放するよう指示。さらにエリトリア、ソマリア、スーダンからの亡命希望者の収容施設を砂漠の真ん中に建設するよう命じた。ネタニヤフは「(国外)に送還できる人は全員、できるだけ早くそうすべきだ」と閣僚らに語ったと伝えられる。

 英BBCは、不法移民を射殺すべきだと訴える年配のイスラエル人男性や、アフリカ系移民によるセクハラや犯罪行為を糾弾し、彼らがイスラエル人の雇用と住宅を奪っていると訴える若い女性のインタビューを放映した。アフリカ系移民が「侵入者」と呼ばれることが多いなか、与党のある政治家は彼らを「癌」だと言い切った。

 イスラエル人とアフリカ系移民コミュニティの反目は数カ月前から一段とヒートアップしている。イスラエル政府は昨年12月、不法移民の侵入を食い止めるために1億6000万ドルを投じると表明。先月、テルアビブで行われた反移民デモでは一部のデモ隊が暴徒化し、対立が納まる気配はない。

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