最新記事

中東和平

パレスチナ独立申請にイスラエルは戦々恐々

パレスチナの「独立国家」構想がまた失望に終われば、過激派ハマスのテロ攻撃が再び激しさを増す

2011年10月7日(金)15時31分
ノガ・ターノポルスキー

パレスチナにも春? 国連の潘基文事務総長(右)に国連加盟申請書を手渡すアッバス議長(9月23日) Eric Thayer-Reuters

 8月中旬、エジプト国境に近いイスラエル南部のリゾート地で、武装集団によって8人が殺害された。イスラエル国防軍は、シナイ半島からテロ組織が侵入しつつあるという「確実な情報」を得ていると発表した。

 一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は9月の国連総会に合わせ、20日に独立国家の承認を国連に求めると表明している。だがパレスチナ人の独立への期待が高まったところで、また承認されなければ新たな蜂起を引き起こしかねない。

 イスラエル南部軍のズビ・フォーゲル元司令官は「緊張の時期に入った。今後はもっと悪化するはずだ」と懸念する。「パレスチナ自治政府と(イスラム原理主義)ハマスとの対立を見れば、そうなることが分かる」

 イスラエルにとって唯一の解決策はハマスの指導部に恐怖の一撃を与えることだろうと、フォーゲルは言う。彼は、レバノンのイスラム過激派ヒズボラを例に挙げ、ヒズボラはもはやイスラエルの北部国境から攻撃する力を失ったと語る。「(ヒズボラを率いる)ナスララは逃げ回っている。ハマスも同じ目に遭わせてやる。私たちを攻撃するより自分たちの生き残りだけで手いっぱいになるように」

GlobalPost.com特約

[2011年9月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米共和党下院議長、つなぎ予算案の採決見送り

ビジネス

米ホリデー商戦、18年以降で最低の伸びに=デロイト

ワールド

ヨルダン議会選、イスラム政党躍進 ガザ紛争で反イス

ワールド

中国商務相が来週イタリア訪問、閣僚と会談へ=伊政府
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 2
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    公的調査では見えてこない、子どもの不登校の本当の…
  • 6
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 7
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンシ…
  • 8
    恋人、婚約者をお披露目するスターが続出! 「愛のレ…
  • 9
    プーチンが平然と「モンゴル訪問」を強行し、国際刑…
  • 10
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 5
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 8
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻…
  • 9
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 10
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中