最新記事

財政

借金を制する者が新世界を制す

国際社会の新たな課題は巨額債務との戦い。債務を管理する能力が一国の経済力を左右する時代の到来だ

2010年12月22日(水)12時32分
ダニエル・グロス(ビジネスジャーナリスト)

薄闇の中で 先進国を待つのは痛みを伴う財政再建プロセスだ(年金制度改革に抗議するパリ市民) Jean Marmeisse-Gamma/Getty Images

 忙しい世界の指導者たちは演劇を観賞する暇などないかもしれない。とはいっても、ニューヨークのブロードウェイで上演されている、名優アル・パチーノ主演のシェークスピア劇『ベニスの商人』を見逃すのはあまりに残念だ。

 注目すべき借金絡みのドラマはこれだけではない。「世界は舞台だ」と、シェークスピアは戯曲『お気に召すまま』に書いた。2011年、その言葉どおり世界経済は総額82兆ドルに上る各国の借金をめぐる衝突と挑戦、勝利と危機のドラマの舞台になりそうだ。

 これまで国力を決める最大の要素は石油など極めて重要な資源の支配権や軍事力、ハイパー資本主義を受け入れる能力だった。だが11年以降は、債務を管理する能力こそが経済力を測る最大の指標になるだろう。

 ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領だった頃、米政権が掲げた「自由のための行動計画」は、途上国を一党支配体制から解放し、民主的な選挙を実現することに焦点を当てていた。それが今や最大の課題は先進国を巨額の借金から解放し、財政バランスを回復することだ。

 11年を改善の年として終えられそうな国はどこか。激痛を伴う債務返済を見事に達成できる国、低金利を財政再建に利用できる国、金融緩和という餌に釣られて新たな危機にはまり込まない国だ。...本文続く

──ここから先は22日発売の『ニューズウィーク日本版』 2010年12月29日/1月5日号のカバー特集「ISSUES 2011 勝ち組経済のカギ」をご覧ください。
<デジタル版のご購入はこちら
<iPad版、iPhone版のご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

カバー特集「ISSUES 2011 勝ち組経済のカギ」には他にも
■「スイスが教える危機克服の秘訣」
■「社長の自信喪失が招く悪循環」
■途上国あらため福祉国家?
など、他では読めない新しい視点の記事が盛り沢山です。
<最新号の目次はこちら

[2010年12月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中