最新記事

不動産

土地不足を心配するオーストラリア

せっかくの人口増に反対する新党まで表れた、譲れないスペース感覚

2010年5月27日(木)15時23分
マリーナ・カメネフ

 オーストラリア人にとって「広大な土地」は掛け替えのないもの。だから今この国を襲っている急激な人口増加には耐えられない。

 現在の人口は2200万人。これが50年までに65%増え、3600万人近くに達するといわれる。この増加率は予想される世界平均のほぼ2倍。政府はこれを昨年9月に発表したが、ラッド首相は「人口増加は朗報、大きなオーストラリアはいいことだ」と発言。だがすぐに環境問題や食糧不足を懸念する人々が反発した。

 さらに人口増に反対する政党が2つも誕生。ほかの野党も今年の総選挙で人口問題を論点の1つに据える構えだ。こうした動きを受け、ラッドは今年4月に「人口相」を新設、対策を練るよう指示している。

 確かに、オーストラリアには人口増加に対応できる土地がある。国土面積が世界6位なのに対し、人口は55位。とはいえ人口の80%は沿岸部に住み、耕作可能な土地は国土の6%にすぎない。

不動産価格も懸念材料

 経済的にみれば、人口増加は多くの場合、消費や不動産の需要を加速させ成長の原動力となる。実際、オーストラリア経済は昨年プラス成長を記録。エコノミストらは2・1%の人口増のおかげで金融危機による深刻な被害を免れたと指摘している。だが昨年の不動産需要の伸びが不動産価格を20%も上昇させる副作用もあった。

 世論調査では69%が人口は3000万以下が望ましいと回答。「オーストラリア人にはスペースが大事なのだ」と、シンクタンク、グラッタン研究所のソール・エスレークは言う。「シドニーやメルボルンが人口過多になったら、土地の使い方を根本的に見直さなければならなくなる」

[2010年6月 2日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格、7月前年比+2.6% コアは4カ月ぶ

ワールド

再送-イランで死刑執行が大幅増、今年800人超=国

ワールド

米、パレスチナ当局者へのビザ発給を拒否 国連総会を

ワールド

イスラエル、ガザ援助物資搬入のための一時停戦を終了
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 8
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中