最新記事

ポーランド

墜落死の原因は大統領自身だった?

2010年4月21日(水)16時52分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)

 ポーランドのカチンスキ大統領夫妻や多くの要人を乗せた飛行機が4月10日にロシア西部で墜落したが、原因は悪天候の中で着陸を強行したためのようだ。カチンスキは以前から操縦士に圧力をかけて不必要な危険を冒す傾向があったと報じられているが、米政府が得た情報もそれを裏付けている。

 注目すべき事例は08年のロシアによるグルジア侵攻のときのこと。操縦士が危険過ぎると主張しても、カチンスキはグルジアの首都トビリシに向かえと何度も迫ったという。操縦士は命令に従わず、隣国アゼルバイジャンに針路を変更。カチンスキは陸路でグルジアに向かわざるを得なかった。

 一部報道によると、この操縦士は命令違反で裁判にかけられそうになった。この一件で鬱病に苦しむようになったともいう。

ロシア陰謀論もあったが

 今回の墜落事故の直前、現場付近は濃霧のために極めて視界が悪く、航空管制官は別の空港に着陸するよう繰り返し勧告していた。

 ポーランドとロシアの歴史的な確執からすると、今回の事故がロシアの陰謀だとして緊張が高まりかねなかった。だが大半のポーランド国民は、事故の原因は操縦ミスだと認めているようだ。同国政府の報道官はロシアの対応を称賛。これを機に両国の関係が改善するかもしれないと言う。

[2010年4月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フォード、ルノーの技術と工場活用へ 欧州向け低価格

ワールド

ロシア軍、ウクライナの全戦線で前進=参謀総長

ビジネス

日経平均は小幅続伸、半導体関連小じっかり 積極売買

ワールド

韓国国民年金、新たなドル調達手段を検討 ドル建て債
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中