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ロシア刑務所改革、囚人には悪夢?

2010年2月15日(月)12時29分
アンナ・ネムツォーワ(モスクワ支局)

 環境の劣悪さで名高いロシアの監獄が変わりそうだ。昨年、政府を告発して拘束された弁護士が必要な医療処置を受けられず獄死し、国民が激怒。これに対してメドベージェフ大統領が先月、刑務所や拘置所の大幅な見直しを発表した。

 ロシアの受刑率は世界第2位で(現在の収監者は約90万人)、環境もスターリン時代とほとんど変わらない。だが改革により軽犯罪者には自宅監禁か保釈金での釈放が適用され、再犯者と収監場所も分けられる。また、老朽化した755の刑務所も閉鎖される。

 だが収監者の約半数は以前より劣悪な状況に置かれるだろう。地方刑務所の閉鎖で、40万人の再犯者が既に満員の都市部刑務所に移される。生活は大部屋から4人用監房になり、彼らの多くは労働や勉学、配偶者の訪問を受ける権利を失う。誰かにとっての改革は、誰かにとっての悪夢になりそうだ。

[2010年2月17日号掲載]

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