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ヒマラヤ少数民族が育むお宝ワイン! 中国随一の「アオユン」とは

A Unique High Mountain Terroir

2019年05月08日(水)18時40分
ジャニス・ウィリアムズ

「雲の上の飛翔」を意味するアオユンは300ドルを超えるラグジュアリーワイン AFPー時事

<雲南省の秘境に理想のテロワールを求め、仏モエ・ヘネシーが高級酒造りに挑む>

雲南省の奥地、純白の雪を頂くヒマラヤ山脈に近い連山「梅里雪山」に、美酒を生む桃源郷がある。標高6740メートルの最高峰カワカブ山の麓で、中国きっての高級ワインが造られているのだ。

カベルネソービニヨンとカベルネフランをブレンドした赤ワイン「アオユン(雲の上の飛翔)」。ルビー色が美しく、高地のワインらしくフレッシュな味わいで、シルキーな口当たりが素晴らしい。そのしずくには、ブドウ畑を取り巻く多様な民族文化が染み渡っている。

カジュアルな料理にも晴れの席にもぴったりのエレガントな万能ワインだが、300ドル超という値段を考えれば特別な祝宴向きだろう。中国なら、春節 (旧正月)などのお祝いに欠かせない水ギョーザや魚料理にも合うはずだ。

アオユンを手掛けるフランスワイン大手モエ・ヘネシーの醸造家マクサンス・ドゥルーによれば、深いルビー色は高地の強烈な紫外線のたまものだという。

【参考記事】「オレンジワイン」、8000年の時を経て密かなブームに

口に含めば、ヒマラヤスギ、ミント、シナモンの香りがはじけ、味わいはフルーティーでミネラルがたっぷり感じられる。黒鉛にシャクヤクの花とブラックラズベリーを押し付けたような風味、とでも言おうか。辛口で飲みやすく上品な余韻に、ついもう1杯と手が伸びる。

「アオユンは料理を選ばない」。1月にニューヨークで開かれた13年と14年ビンテージの試飲会で、ドゥルーは本誌に語った。「私たちは独創的に時代を切り開こうとしている。だから料理も独創的な発想で自由に合わせてほしい」

飲む人も選ばないが、特に冒険心の旺盛なタイプの人に勧めたいという。「クリエーティブで好奇心の強い人に味わってほしい」と、ドゥルー。「カベル ネソービニヨンとカベルネフランの新たな表現を知ってもらえたらと思う。私たちの売りは200年の伝統ではなく冒険。アオユンを買う人は、私たちと冒険を共にすることになる」

20年以上の長期熟成にも耐え得るので、記念のワインとして購入するのもいいだろう。

2000年頃に地元の人々がワイン造りを始め、個性的な赤ワイン造りに適した土地を探していたドゥルーらが目を付けたのが2008年。2013年に初登場したアオユンはボルドーワインに負けない複雑さを秘める一方、独特な風味にはブドウ畑のテロワール(土壌や気候などブドウの生育環境)が鮮やかに表れている。

【参考記事】ワイングラスのサイズ、3世紀で7倍になっていた!

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