最新記事

ロシア

プーチンがヒラリーの選挙動画を18禁に?

社会の多様性を讃える動画がプーチンの法律に違反する理由

2015年4月14日(火)16時18分
ダン・ペレシュク

危険思想? 未成年を同性愛から守る、と言うが Screen Shot / YouTube

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、ヒラリー・クリントン米元国務長官はただでさえ癇に障る存在だ。その上、2016年米大統領選への出馬を表明したクリントンのキャンペーン動画は、将来の結婚について話し合う男性の同性愛カップルが登場する。神経が逆撫でされるどころの話ではない。

 かつてプーチンが作った法律のおかげで、この動画はロシアでは違法になる可能性がある。ロシア最後の独立系テレビ局で反骨精神にあふれるテレビ・レインは、放送にあたってこの動画を成人指定にした。同局の広報担当者によれば、ロシアでは同性愛宣伝禁止法で未成年者に同性愛を「宣伝」することが禁じられているので、告発を避けるために指定をしたという。自主規制をしたわけだ。

 クリントンが出馬表明と共にリリースしたキャンペーン動画『さあ始めよう』は、社会の多様性を賛美している。手をつないだ男性2人が今度の夏に結婚しようと話し合うシーンもその1部だ。

 ロシアでは同性愛者に対する差別感情が高まっており、AP通信が行った世論調査によると、国民の63%が同性愛を社会に受け入れるべきではないと考えている。反同性愛団体が作った動画はネット上で広く拡散されている。人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれを、ロシア当局が見て見ぬふりをしている暴力的なトレンドの1つだとして懸念する。

 未成年に対する同性愛の宣伝を禁じた法律は2013年にプーチンが署名、成立させた。ロシア内外の人権活動家は、こうした法律は若者を守る代わりに不寛容な態度を広めるだけだと非難。スポーツ選手や国際団体に2014年のソチ五輪のボイコットを呼びかけた反プーチン派もいた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ラガルドECB総裁早期退任報道は「うわさ」、仏中銀

ビジネス

仏自動車部品ヴァレオ、インド販売拡大に向け2億ユー

ビジネス

仏カルフール、年10億ユーロのコスト削減へ 中核市

ビジネス

アングル:「カタリスト待ち」の日本株、成長投資の中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 10
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中