最新記事

人種問題

人種間格差が広がるシリコンバレーの労働事情

誰でも一攫千金を狙える街から白人だけが栄える街へ

2014年9月5日(金)12時32分
フィオナ・キーティング

差別? グーグルの従業員は白人がほとんど Noah Berger-Bloomberg/Getty Images

 労働者支援団体ワーキング・ パートナーシップUSAの最近の報告によると、フェイスブック、アップルやグーグルなどのIT企業は黒人やヒスパニックを主体とする低賃金の「見えない労働力」を利用している。多くのIT企業が黒人やヒスパニックを低賃金の管理人や造園業者、警備員として雇用する実態が明るみに出たのだ。

 北米における管理人の時給は11ドル、造園業者と警備員は14ドルだ。一方、ソフトウエア開発者は時給63ドルも稼ぐ。「正規従業員名簿に載らない、サービス業の委託労働者が『見えない労働力』となっている」と、同報告書は指摘。高収入の技術職ではなく低収入のサービス業にしか就労できない構造が、IT産業の恩恵にあずかれない層を生んでいる。「かつてシリコンバレーには中産階級が多かったが、生活苦の労働者世帯が増えて経済格差は大きくなった」

 サンタクララ郡の全労働人口の28%は黒人かヒスパニック。人権団体はハイテク企業が雇用する黒人やヒスパニックの数が少な過ぎると非難している。

 グーグルの場合、従業員の人種構成は白人59%、アジア人が34%、ヒスパニック2%、黒人1%。フェイスブックではヒスパニックが3%、黒人が1%だ。一方、人種多様性で最も優れているのはeベイで、事務研究職のうち黒人7%、ヒスパニック5%、さらに42%が女性だ。

 企業側は重要な仕事に必要な関連資格を持つ黒人やヒスパニックが少ないと反論するが、企業努力も問われている。

[2014年9月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

壁際なのに「窓側料金」、乗客がデルタとユナイテッド

ワールド

ネタニヤフ氏「豪首相は弱い政治家」、ユダヤ人社会見

ビジネス

英7月小売売上高の公表を2週間延期、内容精査理由に

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安で半導体関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中