最新記事

米大統領選

共和党と民主党、政策はどこが違うのか

アメリカの有権者は、華々しい演説より各党の政策綱領に注目している

2012年9月7日(金)16時47分
プリヤンカ・ボガニ

採点はいかに 民主党全国大会で指名受諾演説を行うオバマ(ノースカロライナ州、6日) Adrees Latif-Reuters

 アメリカ国民はロムニーの演説より党の政策綱領に興味をもっている──先週の共和党全国大会を受けてピューリサーチセンターが行った世論調査の結果だ。大統領選の共和党候補に指名されたミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の演説に関心を示したのは46%だったのに対し、党の政策綱領に関心を示したのは52%だった。

 民主党の全国大会も今週開催され、再選を目指すバラク・オバマ大統領が指名受諾演説を行い、党の政策綱領も採択された。両党の政策を比較してみると──。

 共和党の政策綱領は、これまで以上に保守的で右寄りにシフトした内容だ。特に人工妊娠中絶や同性愛といった問題について、保守路線を貫いている。レイプや近親相姦で妊娠したとしても、中絶は絶対に許されない。結婚は厳に「男性と女性が一緒になること」ととした。

 一方の民主党は政策綱領に今回初めて、同性婚の支持を明記。またこれまでと同様、中絶を容認する方針を改めて示した。

 経済・安全保障政策については、共和党は米連邦準備制度理事会(FRB)の透明性向上を目的とした年次監査の強化を盛り込んだ。また連邦住宅ローン会社(ファニーメイとフレディマック)の縮小や使用済み核燃料の管理などをうたった。

 対する民主党は長期失業者への職業訓練、研究開発への投資、自由貿易の支持、交通インフラの強化などを盛り込んだ。


減税対象は富裕層か中間層か

 共和党はジョージ・W・ブッシュ政権時代に導入された所得税減税「ブッシュ減税」の延長を主張。富裕層に対する大減税を継続する政策だ。しかし民主党は中間所得層を対象とした減税に力点を置き、富裕層や大企業に対しては、「相応の税金を払う」よう求めた。

 オバマの医療保険制度改革を非難する共和党は、「オバマケア」の撤廃を主張。代わりに共和党の副大統領候補ポール・ライアン下院予算委員長が提唱するメディケア(高齢者向け公的医療保険)の一部民営化を支持した。

 移民問題について共和党は、不法移民に対する規制強化をうたう一方、高学歴者への労働ビザ発給を優遇する方針を示した。
 
 今回、民主党の政策綱領で問題になったのは、08年(前回の大統領選)の綱領では明記されていた「エルサレムはイスラエルの首都」という文言が削除されたことだ。9月4日に初めて綱領が発表されたときに、この文言がなかったためにユダヤ系団体が反発。これを受けて翌日、急きょ追加されるという波乱があった。

 こうした政策綱領に法的拘束力はない。だが党のトップ、つまりオバマとロムニーそれぞれの考えを反映した内容であるのは間違いない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダCPI、25年12月は2.4%上昇で予想上回

ビジネス

独企業の対米投資、25年にほぼ半減 貿易巡る不確実

ワールド

米最高裁が関税無効判断なら迅速に代替措置─USTR

ワールド

トランプ氏、武力行使巡り明言避ける グリーンランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 2
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 8
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 9
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 10
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 7
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中