「都会人=早歩き説」は本当?...スマホとスタバが奪う「余白」の時間
No More Sidewalk Chats
今回の研究には不参加のドルトンが言うには自身も手がけた英政府の調査でも同様の傾向がある。この研究で、対象者2029人のうち54%が退屈な建物が並ぶ地区の通行は気分に影響すると回答した。
「魅力が乏しい道はより素早く通り抜けようとする。結果的に、路上にいる時間も社会的交流も減る負のループが生まれる」と、ドルトンは言う。
スマホとスタバの世界
今回の研究は、著名な都市研究者ウィリアム・ホワイトが79~80年に撮影した映像を分析した。
ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィアの代表的な公共空間を捉えたこの映像は、20世紀後半の都市生活における社会的行動のサンプルだ。
今回の研究の共同執筆者である社会学者キース・ハンプトンらは10年、同地点で同時刻にアップデート版を撮影。AI(人工知能)やコンピュータービジョンを用いて、今回新たに歩行者行動の変化を数値化した。
とりわけ目立ったのは、公共空間で群れに加わる人の減少だ。公共空間に到着した後、その場にいる集団と交流する人の割合は、80年に5.5%だったが、10年にはわずか2%にまで低下していた。