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今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命

Blood, Sweat and Tears

2025年3月6日(木)10時35分
アレクシス・ケイザー(医療担当)
今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命

自社の血液検査装置で使う「サポートパック」と分析用ディスクを手にするマリヌッチ(左)とスリニバサン TRUVIAN

<少量の血液を迅速に検査し、30分以内に結果が出る卓上型装置が完成? 同業者の詐欺事件のあおりを受けて資金調達に苦しんだ卓上検査装置に集まる期待>

2015年9月、ディーナ・マリヌッチは少量の血液を迅速に検査し、30分以内に結果が出る卓上型装置の完成を目指していた。どこかで聞いたことがある話? 

確かに。当時、検査業界に革命を起こすという野望を抱いていたのは彼女だけではなかった。

マリヌッチがトルビアン・ヘルス社を共同設立した翌月、同業のセラノスが自社の血液検査技術の正確性と信頼性を詐称し、医師と患者と投資家を欺いていたと告発する暴露記事がウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された。当時、セラノスの企業価値は90億ドルに達していた。


この調査報道はドミノ効果を引き起こした。セラノスは臨床検査の免許を取り消され、CEOのエリザベス・ホームズは禁錮11年の実刑判決を受けて23年5月に収監された。

15年にトルビアンを立ち上げたとき、マリヌッチはベンチャーキャピタルから6カ月分の事業立ち上げ資金を得ており、次の段階でさらに大きな資金をすぐに調達する計画だった。だがセラノスのスキャンダルを受けて、計画は修正を余儀なくされた。

「私たちはセラノスを否定した人たち、つまり医療検査の分野で有名なオピニオンリーダーを迎え入れた」と、マリヌッチは本誌に語った。「会社の設立当初から彼らをチームに入れ、学び、彼らの懐疑心を理解し、データの評価を手伝ってもらうことにした」

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