最新記事

トレンド

絵文字フィーバー日本から世界へ

各国で絵文字が爆発的な人気を呼んでいるが、本家の日本では廃れている不思議とその理由

2016年1月6日(水)16時40分
マット・アルト

日本発エモジ文化 外国での絵文字の人気はかつての日本とは比べものにならないほど高い Roy Scott/Ikon Images/GETTY IMAGES

 日本発の「絵文字(英語でもemoji)」にとって、2015年は記念すべき年になった。ニューヨーク・タイムズ紙は1月に絵文字をあしらった見出しを付け、3月にはニューヨーカー誌も表紙に絵文字を並べた。

 ミシガン州の裁判では証拠として絵文字が引用された。4月に安倍晋三首相をホワイトハウスに招いたバラク・オバマ米大統領は、マンガやアニメ、絵文字を生んだ日本に感謝してみせた。イギリスではウェールズ人の教授が、国内で最も急速に広まった「言葉」だと分析。同性愛カップルを表す絵文字の使用を禁止する方針を打ち出したのはロシア政府だ。

 とどめはオックスフォード英語辞典。ワード・オブ・ザ・イヤー2015(15年の言葉)として、「うれし泣き顔」の絵文字を選んだ(絵文字が選ばれたのは初めてだ)。

 今やオンライン上では、絵文字なしのコミュニケーションは考えられないが、英語圏で爆発的人気が出たのはほんの数年前のこと。11年10月にiPhoneのOSがアップデートされ、絵文字が使えるようになったのがきっかけだ。

 これほど短期間に、これほど盛り上がった絵文字熱は一過性のものなのか。ブームが去った後はどうなるのか。これらの答えは、故郷の日本で見つかるかもしれない。

 ごく初期の絵文字は97年に発売されたJ‐フォン(現ソフトバンク)の携帯電話に収められたが、本体価格が高過ぎて一般には普及しなかった。私たちが現在知っている絵文字の直接の祖先は、99年に生まれたものだ。

 では今の日本の状況は? 「ブームは終わった」と、かつてNTTドコモで絵文字を開発した栗田穣崇(しげたか)は言う。「まだ使われているが、勢いはない」。オバマの賛辞についても「『あれ、外国ではまだ絵文字が人気なの!?』と、多くの日本人が思ったんじゃないか」と彼は言う。

 日本における絵文字の栄枯盛衰をたどってみよう。NTTドコモが絵文字の原型を採用したのは99年のこと。携帯電話による日本初のインターネット接続サービス、iモード向けの機能だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中