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「着物の未来をパリから守る」 ファストファッションが席捲するなか、究極のエコファッションを伝える女性

2026年4月3日(金)15時50分
岩澤里美 (スイス在住ジャーナリスト)

福西さんのショップ

ノルウェージャン・レインのパリ本店内にある福西さんのショップ(写真提供:福西園)

「着物を回収するシステム」の構築

もう1つ、福西さんにはどうしても実現したいことがある。それは、日本やヨーロッパで廃棄されている着物を回収してきちんと分別し、着物として、または着物の生地を使った洋服としてパリで売る、という「着物を循環させるシステム」作りだ。あまり知られていないが、シミや穴がある着物(シミ抜きは高額)だけでなく、ウールやポリエステルなど絹製以外の様々な着物も大量に捨てられているという。

そして、金銭的な還元も考慮している。福西さんは、その収益の一部を日本で着物作りに携わる人たちに還元したいという。福西さんいわく、オートクチュールは仕立て代が素材よりも高いが、着物の場合は、価格の大部分は生地代で占められているという。

「例えば、1000時間以上の手仕事を要する総絞りの新品の着物の相場はおよそ100万円です。しかし、この価格でも実際には人件費を十分に賄えているとはいえません。一方で中古の総絞りは3万~5万円ほどで流通しているため、消費者から見ると『似たような着物なのに価格が大きく違う』という印象になりがちです。つまり、着物市場は一次市場(新品)と二次市場(中古)の価格構造が完全に乖離しているのです。そうした状況では新品の価値や価格の背景が伝わりにくく、市場としても成り立ちにくい構造になっていると感じます。

着物業者への様々な資金援助はありますが、展示会参加用のためといったように一時的な支給で、申請手続きも煩雑です。着物職人の賃金や休暇にもっと配慮し、豊かに暮らしていけるようにすることが、本当のサステナビリティにつながると思います。そうしないと職人の数は減り続け、将来、着物の生産量がさらに減ってしまうと思います」

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