最新記事
SDGsパートナー

災害が起きても「1日で対応」...パナソニックが実現したサプライチェーンのレジリエンス強化

2024年11月26日(火)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
パナソニック

写真はイメージです ART STOCK CREATIVE-shutterstock

<自然災害が拡大するなか、ますます重要度が増すレジリエンス(回復力)の強化。大手電材メーカーのパナソニックは、先進的なSCM(サプライチェーン・マネジメント)導入で災害・有事への対応を進化させている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

火災で一部製品の供給が1年半止まった痛い経験

SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」には、持続可能で災害に強いインフラを構築することも含まれる。気候変動の影響で実際に自然災害の頻度や規模が拡大しており、昨今、インフラの「レジリエンス(回復力)」強化は重要度が増している。

製造業のサプライチェーンも、そうしたインフラと同等に考えてよいだろう。

サプライチェーン上のリスク管理は、なにもその1社だけが抱える課題ではない。コロナ禍で物流が遮断され、世界経済に打撃が加えられたことからも明らかなように、サプライチェーンが寸断され、経済が止まれば、人々の生活に大きな影響が及ぶ。

そのため有事においても安定的な供給を実現すべく、昨今、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の導入が各社で進んでいる。

電気配線やコンセント、照明のスイッチといった電気設備資材から、照明器具、純水素型燃料電池まで幅広い商材を扱うパナソニック エレクトリックワーク社(以下、パナソニックEW社)は、まさにその「サプライチェーン寸断」を経験した。

電材事業で国内最大手、世界シェア2位の企業だが、2020年に国内大手サプライヤーの火災により、約1年半にわたり一部製品の供給がストップしてしまった。

以来、同社はリスク管理体制を見直し、2023年4月には「ES-Resi.(ESレジ)」を導入。従来は災害発生などの情報をバケツリレーのように拠点間で伝達していたが、それを一元化させるSCMのシステムだ。

全社での情報共有、サプライチェーン上のアクシデントで影響を受ける部品の早期掌握、そして代替品の事前登録による対応アクションの早期化が、これで可能になった。

「BCM(事業継続計画)状況の把握を、平均10日から3日にまで短縮することができました」と、同社サプライチェーン統括センターの森下賢治所長は言う。

パナソニック

パナソニック エレクトリックワークス社サプライチェーン統括センターの森下賢治所長 Newsweek Japan

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資

ワールド

イスラエルがシリア攻撃、少数派保護理由に 首都近郊

ワールド

学生が米テキサス大学と州知事を提訴、ガザ抗議デモ巡

ワールド

豪住宅価格、4月は過去最高 関税リスクで販売は減少
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中