最新記事
SDGsパートナー

地産地消の料理に込めた未来へつながる地域づくり──鳥取県「やど紫苑亭」が目指す「サステナブルな宿ナンバー1」への道

2024年10月30日(水)11時25分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
やど紫苑亭の自然庭園

四季折々、さらには一日の時間の移り変わりで劇的に表情を変えるやど紫苑亭の自然庭園

<鳥取県米子市の旅館「やど紫苑亭」は、地産地消の料理の提供を中心とした地域の文化・産業と結びついた活動を通して、持続可能な社会づくりに貢献している>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


売れ残りや食べ残し、期限切れなどで食べ物が廃棄される「食品ロス」は、日本では年間約472万トン(2022年度推計値)に上る。計算すると、国民1人あたり毎日おにぎり1個分の食料を捨てていることになる。

一方で、食料自給率は38%と低く、大量の食料を外国から輸入したうえで大量に廃棄しているのが今の日本の現実だ。

こうした問題に積極的に取り組んでいる自治体の1つが鳥取県。2020年に「とっとりSDGs宣言」を発表し、具体的な数値目標を掲げてSDGsを推進している。そんな鳥取県で「食」にまつわる取り組みに力を入れているのが、2021年創業の旅館「やど紫苑亭」だ。

地域一体で廃棄物削減に取り組む

米子市皆生温泉にあるやど紫苑亭は、地域と深く結びついた旅館運営を実践している。特にこだわっているのが、地産地消の料理だ。宿泊客はもちろんのこと、「地域の農家や漁師に喜んでもらう場所」にすることを目指してきたと、支配人兼料理長の大石昌彦氏は話す。

地域での「パートナーづくり」を大切にしている大石氏は、地元生産者のもとへ直接足を運び、会話を重ねながら食材を仕入れている。そうして生まれるのが、契約農家の野菜をはじめ、県産ブランドの白ネギや長芋、地元米、県魚のヒラメなど、山陰の豊かな恵みをふんだんに使った料理だ。

また、やど紫苑亭では環境保全や地域活性化に貢献している農家や企業ともパートナーシップを強化している。

たとえば、やど紫苑亭にカニを提供する業者は、本来廃棄するカニの甲羅や殻を活用。専門業者に依頼して粉砕したうえで肥料にアップサイクルし、地元の農家などに流通させている。

やど紫苑亭で提供される松葉ガニ

専用イケスも保有する「極上の松葉ガニ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中