最新記事
SDGs

兵庫県のスタートアップから見える淡路の未来

2023年3月14日(火)12時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

hyogo230313_4.jpg

神戸医療産業都市/神戸市提供

淡路は多種多様な魚介が獲れるだけでなく、タマネギをはじめとした農産物も豊富。さらに淡路牛に代表される肉用牛の産地でもあります。そして、洋食文化発祥の地である神戸とも近いのが特徴です。もともと兵庫県全体が「食や農」に深く関わっていて、その拠点を担うのが淡路なのではないでしょうか。

実際に、パソナグループによる農家レストランやオーベルジュといた飲食店や施設が多数オープンしています。私が子供の頃に海水浴でよく訪れていた西浦(淡路島西岸の総称)は、今では若い人たちがこぞって遊びに行く人気エリアに様変わりしています。「自然と暮らし研究所」は立ち上がったばかりの施設ですが、これから「食や農」で起業したいという人たちが、交流できる場になることを期待しています。

hyogo230313_5.jpg

自然と暮らし研究所

兵庫県には、「起業プラザひょうご」のブランチが尼崎市と姫路市にあるほか、商工会議所や民間業者がやっているものなど、たくさんのコワーキングスペースがあります。起業の相談相手になってくれるコーディーネーターがいる施設も多く、彼らが兵庫県内にいるさまざまな人たちを繋ぎ合わせてスタートアップを促進させるような、そんな仕組みができないかと考えています。

淡路には、島の中央に位置する洲本市に「Workation Hub 紺屋町」というコワーキングスペースがありますが、北淡路エリアの拠点を「自然と暮らし研究所」が担うこともできるでしょう。パソナグループのネットワークを活用して、淡路だけでなく、東京をはじめとした遠い地域の人たちとも出会いを創出してくれる。そして、ここに行けば、何か学べるんじゃないか、面白い人と出会えるんじゃないかと思わせてくれる。そんな存在になってくれればいいなと思います。

住民が力を合わせて課題を解決する地域を目指す

もう少し先のことを考えると、地域の困りごとを住民たちが自ら解決し、そのコミュニティの中でお金も回る仕組みをつくることも大事だと考えています。実は「生きがいしごとサポートセンター」では、得られる報酬は少額でもよくて、地域の役に立ちたいという相談が増えています。手の空いている人たちが集まって、小規模の事業をするイメージです。

そう考えると、これまでの会社という器にこだわる必要はなく、単なる人間集団でも起業は可能です。例えば、昨年10月に施行された労働者協同組合法は、住民が皆で意見を出し合い意思決定を行い、地域の課題を自ら解決していく新しい法人をつくるための制度として注目されています。

皆が満足しながら働き、自分たちの力で地域を少しずつ良くしていく。兵庫県内にそんな地域を少しでも増やしていくのが私の目標です。


木南晴太
兵庫県産業労働部新産業課長

兵庫県神戸市出身。1996年兵庫県入庁。国土計画や環境政策などの業務を経て、企画部ビジョン課では「あわじ環境未来島構想」や「ひょうごビジョン2050」などの計画づくりを推進。2022年に産業労働部新産業課長に就任し、スタートアップ施策と成長産業の振興に携わる。

●自然と暮らし研究所のホームページはこちら
https://naturelabo.jp/

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中