最新記事
がん

体臭を調べるだけでがんを早期発見できる!? 検査で身体を傷つける必要もなし!【最新研究】

Chemical Body Odors May Help Detect Cancers Early

2025年10月1日(水)19時45分
ハンナ・ミリントン(ヘルス担当記者)
臭いを気にする女性

体臭は健康状態を映し出す鏡なのかもしれない Emily frost-shutterstock

<中国科学院の研究者らは、がんの兆候とされる物質を発見したと発表した。これらは尿、便、体臭を通じて体から放出されるという>

尿、便、体臭を通じて体から放出される化学物質を調べるだけで、身体を傷つけることなくがんを早期発見できるかもしれない。

中国科学院の合肥物質科学研究院の研究者らは、マウスを用いた実験で、揮発性有機化合物(VOC)が複数の種類のがんを発見するための有用な手がかりになりうることを発見した。


研究論文では、「がんの早期発見は、治癒率や生存率の向上に極めて重要である。複数のがんを同時に検出できる『パンクリ検出技術』は、がん診断における重要な進歩を意味する」と記されている。

最近の研究により、がんは代謝の異常として作用する可能性が示された。そのため、複数種類の生体情報を統合して解析するマルチオミクス、中でも代謝物の解析であるメタボロミクスの重要性が浮き彫りとなっている。

「メタボロミクスにおけるVOCは、身体に大きな負担をかけることなく病気を早期発見する一助となるだろう。しかし、早期のパンクリ検出でVOCを分析するための信頼できる方法は現時点で存在しない」

研究チームは、複数のマウスの肺、胃、肝臓、食道といった臓器に化学的に腫瘍を誘発させ、それを腫瘍がないマウスと比較する実験を行った。

21週間にわたって、腫瘍を持つマウスと健康なマウスの尿、便、体臭のサンプルを6回に分けて採取した。

結果、がんの進行に伴う代謝変化を反映する3種類のVOC群が明らかとなった。

腫瘍の兆候は、尿では5週目、体臭では13週目、便では17週目に検出された。「高度に進行した腫瘍が発生するよりもかなり前の段階」だったという。

果たして、この研究結果は人間にも適用されるようになるのだろうか。本誌は研究者らに追加のコメントを求めている。

【参考文献】
Liu, Y., Ge, D., Zhou, J., Zheng, X., Chu, Y., Yu, Y., Liu, W., Ke, L., Lu, Y., Huang, C., Shen, C., & Chu, Y. (2025). Gas Biopsy for Pan-Cancer Mice Early Screening by Untargeted Mass Spectrometry Analysis of Metabolic VOCs. Journal of Proteome Research, 24(8), 4215-4226.

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国防長官、イラン報道でCNNを批判 トランプ氏朋

ビジネス

米GDP、25年第4四半期改定値0.7%増 速報値

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー

ワールド

イラン新指導者、負傷で姿見せない公算 外見損傷か=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中