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便秘も脂肪肝も防ぐ! 医師が教える食前に飲むべき「最強の飲み物」とは

2025年9月19日(金)10時16分
尾形哲(肝臓外科医)*PRESIDENT Onlineからの転載

便秘で肝臓が疲弊する

ここからが本題で、便秘によって肝臓にどんな悪影響があるのでしょう。

便がしっかり排泄されずに腸内にとどまっていると、腸では必要以上に栄養を吸収し続けます。便が出ないと体が重いのは、単に排出されない便の分だけ体重が重くなるという話ではなく、過剰に栄養を吸収して「太りやすくなる」のです。太りやすい体質のままでは、脂肪肝の改善に時間を要します。


それだけではありません。便が出ないと腸内にメタンやアンモニア、発がん物質などの毒性物質が増え、それが腸管のバリアを超えて血中に溶け込みます。その毒にまみれた血液が、全身を巡る可能性が出てきます。

これは非常に怖い事態ですが、実際にはそうならないように、肝臓が毒を無毒化するセーフティーネット役を担っています。というと聞こえがよいですが、結局のところ、肝臓は解毒作業のために働き続けなければならず、疲弊するのです。

脂肪肝は、そもそも肝細胞が脂肪という侵入者に不法占拠されている状態。そこに解毒作業が増え続ければ、肝臓がお手上げになるのは時間の問題。

実際、肝硬変の人は腸内の悪玉菌が多いことが知られています。だから、肝臓を元気にするには、腸を良好に保たなければいけないのです。

肝臓にも優しい「腸活」のコツ

腸を健康に保つ「腸活」については、ご存じの方も多いでしょう。腸活のポイントは3つ。便のカサを増やすこと。腸内環境をよくすること。腸のぜん動運動を促すことです。これらをかなえる腸活法を紹介しましょう。

(1)食物繊維を意識する

野菜、果物、海藻、きのこ、全粒穀物などに多く含まれる食物繊維は、腸の動きを活発にし、有用菌のエサにもなります。

(2)発酵食品を摂る

ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどの発酵食品には、有用菌が豊富。腸内環境を整えるのに効果的です。

(3)適度な運動

軽い体操は腸の動きを促進します。スクワットは直接腸を刺激する動きなので、便秘の予防・改善に有効です。

ありがたいことに、「腸活」をすればそのまま「肝活」にもなります。腸にとってのご褒美は、肝臓にとってのご褒美なのです。

ここで、肝臓により優しい方法にブラッシュアップする方法を伝授します。

果物は腸活食品の1つですが、「食べ方」が肝心です。果物はスムージーにして飲むと果糖の吸収スピードが早く、肝臓にダメージを与えます。皮をむいたら、果実をそのまま食べましょう。フルーツは握りこぶし大の80gまでをめどに、食後のデザートに食べると血糖値の上昇をゆるやかにして肝臓への負担が少ないです。

また、腸活食品として有名なヨーグルトはプレーンが基本。甘みを加えたいなら、少量のオリゴ糖をおすすめしています。オリゴ糖は腸内細菌のエサになるとともに、食後血糖値を上げにくいのが理由です。はちみつが絶対にNGではありませんが、成分のほとんどが果糖とブドウ糖なので、肝臓への優しさという面でオリゴ糖に軍配が上がります。

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