最新記事
投資

【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い

2025年12月6日(土)11時45分
山下耕太郎(トレーダー、金融ライター)

さらに、オリエンタルランドの株価収益率(PER)は足元で45倍。市場で「割高」と指摘されていた水準が引き続き維持されており、今回の決算でもその割高感を払拭するには至りませんでした。

また、市場が人工知能(AI)・半導体関連に集中しているなか、「キャラクター関連など知的財産(IP)関連はショート(空売り)にしている海外勢も多い」との声もあります。投資テーマの点でも、オリエンタルランドには逆風が吹いている状況なのです。

サンリオが講じた自社株買い

「ハローキティ」などのキャラクターが中国で高い人気を誇るサンリオ<8136>も、日中対立の余波が広がった「関連株」のひとつとして影響を受けました。知的財産関連株への売り圧力は、今後、アニメの上映打ち切りといった中国国内でのダメージを受ける懸念があるとの分析もあります。

政治的な緊張が高まる少し前、サンリオは低迷する株価に対処するための措置を講じました。というのも、11月5日に中間決算を発表して以降、株価は3割安と低迷していたのです。

サンリオの株価チャート

これを受け、サンリオは「足元の株価が当社が考える適切な水準を下回っている」として、最大150億円の自社株買いを実施すると発表。発行済み株式総数の1.34%を上限とするこの自社株買いは、2023年11月以来2年ぶりのことで、株価を適切な水準に引き上げる狙いがあります。

インバウンド関連銘柄の株価の行方

日中対立が深まったことで、インバウンド関連銘柄は軒並み大幅安となりました。

中国からの訪日客数は国・地域別のトップで、今年は9月までに4割超増加しています。中国人訪日客の消費額は年換算で約2兆円規模に達し、日本のサービス輸出において完成車に次ぐ規模を占めています。日中関係の冷え込みは、企業業績に大きな影響を与えるリスクと認識されています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:軽飛行機で中国軍艦のデータ収集、台湾企業

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中