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実は「ミュージカルはポリティカル」?...社会の闇を描き出す「知っておくべき」社会派作品10選

A MIRROR OF AMERICA

2026年3月26日(木)18時38分
辻 佐保子 (静岡大学人文社会科学部准教授)
ミュージカル『ウエスト・サイド物語』『オペラ座の怪人』『シカゴ』『ウィキッド』などの看板が並ぶブロードウェイの街並み

SEAN PAVONE/SHUTTERSTOCK

<「突然歌う」「非現実的」そんなイメージとは裏腹に、時代と世界の現実を色濃く映し出してきたミュージカル。「教養」としても知っておくべき作品を一挙紹介──>

アニメーション映画とコミックス原作のヒーローものが映画興行収入ランキングの上位を占めるなか、2024年、25年と2年連続で世界の注目を集めたのは少々異色の作品だった。ミュージカル映画『ウィキッド(Wicked)』だ。

同作は童話『オズの魔法使い』で少女ドロシーに倒された「西の悪い魔女」の誕生秘話を描く2部作で、2003年以来、ブロードウェイで20年以上ロングラン上演を続ける大ヒットミュージカルの実写映画版。

映画『ウィキッド』予告編


24年(日本では昨年3月)公開の前編『ふたりの魔女』では、緑色の肌と魔法の才能を持つエルファバが人気者グリンダと友情を育む過程を、25年(日本では今年3月6日)公開の後編『永遠の約束(Wicked: For Good)』では、「悪い魔女」として追われるエルファバと「オズの魔法使い」との交差を描いた。

前編が興行収入7億5800万ドルを超える大ヒットとなり、主要賞にも多数ノミネートされたのに対し、後編は賞レースでの存在感こそ後退したものの興行収入は5億2500万ドルを突破。産業界もこの機を見逃さず、『ウィキッド』とのコラボ商品・イベントには異例の450ブランド以上が参入した。

レビューサイトでの観客評価は極めて高く、ソーシャルメディアでも(ゴシップも含めて)大きな話題を呼び、批評の動向を超えて支持を集める点は、まさにポピュラー・エンターテインメントの王道と言える。

一体なぜ、『ウィキッド』はここまで多くの人の心をつかんだのだろうか。

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