ヴィンテージなのに新しい。Z世代を惹きつける、現代のシンデレラ Laufey(レイヴェイ)【note限定公開記事】
Laufey’s Time Is Now
EMMA SUMMERTON
<ジャズやクラシックを融合させたヴィンテージなサウンドに、Z世代らしい感性。レイヴェイの音楽は、いまを生きる若いリスナーの心を確かにとらえている>
▼目次
1.栄冠と再生数が語る、この時代のシンデレラ
2.唯一のサウンドはそのままに、より壮大より大胆へ
3.テーマ曲に浮かぶ、レイヴェイの内なる葛藤
4.バークリーが開いた扉、オールディーズをZ世代へ
1.栄冠と再生数が語る、この時代のシンデレラ
ジャズやクラシックの要素を取り入れたレイヴェイ(Laufey)のポップな楽曲に、「ダークな皮肉」という言葉はまず似合わない。
26歳の中国系アイスランド人だがオールディーズ(Oldies)を愛し、今はロサンゼルスを拠点に活動する2020年代の新星レイヴェイ。そのサウンドは基本的にロマンチックで夢見心地――だった。
しかし今夏(8月22日)にリリースされた3枚目のアルバム『ア・マター・オブ・タイム(A Matter of Time)』では少女期の世界観や恋愛観を卒業し、より現実を見つめて率直に、時にはクールに自分を語っている。
本誌の単独取材に応じた自称「すごい皮肉屋」のレイヴェイに言わせると、グラミー賞受賞のアルバム『ビーウィッチド(Bewitched)』(23年)で見せた「明るさ」とは逆の「暗さ」をちょっぴり加え、「時計が気になり始めたシンデレラの感じ」に仕立てたのが今度のアルバムだ。
言うまでもないが、レイヴェイ自身が現代のシンデレラだ。
22年に『エブリシング・アイ・ノウ・アバウト・ラブ(Everything I Know About Love)』でアルバム・デビューを果たしたと思ったら、次作の『ビーウィッチド』で早くもグラミー賞をゲット。
数々の著名アーティストや交響楽団との共演も果たし、今や音楽ストリーミングサービス「スポティファイ(Spotify)」での月間リスナー数は約2300万人だ。

2.唯一のサウンドはそのままに、より壮大より大胆へ
新アルバムについて、レイヴェイは「より壮大かつ大胆な作品にしたかった」と本誌に語った。
「でも肝心な部分では自分のサウンドからあまり離れたくなかった。今回は音楽表現を広げる試みを増やしていて、それが自分にとってはとても大事だった」
そのチャレンジの一例がカントリーに触発された曲「クリーン・エアー(Clean Air)」だろう。
「仕事であれ恋愛であれ友情であれ、過去の有害なものを手放すことについての曲」だと彼女は説明する。
「ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスらのハーモニーが大好きで、そのサウンドを何らかの形で取り入れたかった。だって私の世界観からそんなに懸け離れていないと感じたから」と彼女は言う。
アルバム発売に先立ってリリースされたシングル「シルバー・ライニング(Silver Lining)」は、1960年代のポップスを思わせる曲だ。
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【note限定公開記事】ヴィンテージなのに新しい。Z世代を惹きつける、現代のシンデレラ Laufey(レイヴェイ)
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