ニュース速報
ビジネス

EU貿易黒字が縮小、米関税と中国の攻勢が響く

2026年02月13日(金)19時34分

 欧州連合(EU)の貿易黒字が縮小を続けていることが13日公表の統計で明らかになった。米国の関税が対米輸出を圧迫し、中国からの輸入増加が域内生産の重しとなっており、EUの経済モデルへの脅威が浮き彫りとなっている。ドイツ・フランクフルトで2016年2月撮影(2026年 ロイター/Ralph Orlowski)

[‌フランクフルト 13日 ロイタ‌ー] - 欧州連合(EU)の貿易黒字が縮小を続​けていることが13日公表の統計で明らかになった。米国の関税が対米輸出⁠を圧迫し、中国からの​輸入増加が域内生産の重しとなっており、EUの経済モデルへの脅威が浮き彫りとなっている。

昨年12月のEUの貿易黒字は129億ユーロと、前年同月の139億ユーロから縮小した。長年、輸出拡大をけん⁠引してきた機械や自動車の販売が減少を続け、化学品の輸出も落ち込んだ。

最大の輸出先である米国向⁠け輸出​は前年同月比12.6%減少し、対米黒字は3分の1減の93億ユーロとなった。一方、中国に対する貿易赤字は268億ユーロと、前年の245億ユーロから拡大した。

昨年初めに米国が一連の関税措置を発表して以降、輸出は変動が大きくなっているが、変動をならしてみると、輸出⁠の大幅な減少が鮮明だ。価格上昇により米国の‌輸入業者が購入を削減したり、調達先を他国へ切り替えたり⁠してい⁠るためだ。

エコノミストは、欧州がこの失われた市場を取り戻すには数年を要するとみている。純輸出はこれまで成長の柱だっただけに、ユーロ圏経済は今後、年1%をわずかに上回る程度の低成長が続く可能性‌がある。

ただ、域内経済は現在のところ貿易ショック​に対‌して耐性を見せてい⁠る。人工知能(AI)関連投資​や国内消費が加速しており、域内総生産(GDP)成長率は緩やかながらも底堅く推移している。

統計局が別途発表した昨年第4・四半期のユーロ圏のGDPは前期比0.3%増で、速報値と一致した。

雇用も前期比0.2%増と堅調を維持して‌いる。

また、ドイツが長年疎かになっていた防衛やインフラへの投資を強化していることも、国内支出を​押し上げる要因として楽観視され⁠ている。こうした支出が本格化するには時間がかかるが、第2・四半期の統計を押し上げ、年末までに本格的な効果が表れる見通しだ​。

域外からの経済的な試練は、停滞していた域内改革を促すきっかけにもなり得る。欧州中央銀行(ECB)は、障壁を撤廃することで、米国の関税による貿易減少の影響を相殺できると推定している。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イランの「黒い雨」、WHOが健康被害を警告 

ワールド

欧州委員長、原発縮小は「戦略ミス」 化石燃料依存に

ワールド

G7、石油備蓄放出のシナリオ策定をIEAに要請=仏

ワールド

イスラエル外相「終わりのない戦争望まず」、終結時期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 5
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中