最新記事
映画

構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガロポリス』は、ある1点で『スター・ウォーズ』を超える?

Into the Heart of Madness

2025年6月13日(金)13時27分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)

映画『メガロポリス』場面写真、カティリナを演じるアダム・ドライバー

カティリナには時間を止める超能力も ©2024 CAESAR FILM LLC ALL RIGHTS RESERVED

高尚な哲学とチープさと

『メガロポリス』は明らかに、ハリウッドの無声映画時代の壮大さと、セシル・B・デミル(Cecil B. DeMille)監督の群集劇の影響を受けている。多くの名優がほんの数シーンだけ出演しており、その全てに気付くことはできそうにない。

現場もスムーズではなかったようだ。あるスタッフは英ガーディアン紙に、デジタルを使えば「10分で」完成する視覚効果を、コッポラがほぼ1日がかりで試行錯誤したと愚痴をこぼした。しかも、その直前に視覚効果チームの大半を解雇していたのだ。


業界誌は伝統的なハリウッド流からの逸脱を揶揄した。『ゴッドファーザー(The Godfather)』を作った男が一体どうしたのだろう。

コッポラは最後のスタジオ作品となった1997年の『レインメーカー(The Rainmaker)』以降、伝統的な物語の形式を手放した。その後の作品もそれぞれ長所はあるが、見ていて退屈でもあった。

映画『レインメーカー』予告編


しかし、『メガロポリス』は意図的に、時には偶然に笑いを誘う。また、時代の変化に合わせて脚本を修正したところもある。第3幕は9.11テロを思わせる始まりで、金持ちのダメ息子のクローディオが、ポピュリズムをあおる才能を発揮して政界で台頭する......もうお分かりだろう。

壮大なアイデアは、時には練り上げられたディティールとうまく連携していないようにも見える。だが、大衆にどう受け止められるかは心配無用。コッポラの狂気に見せかけた老獪さを過小評価してはいけない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米イラン交渉再開巡り期待感

ワールド

世界経済、中東の戦闘が短期終結なら回復可能=IMF

ワールド

イラン停戦交渉再開の可能性「非常に高い」=国連事務

ワールド

ホルムズ海峡、過去24時間で20隻超の船舶通過=報
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍の海上封鎖に中国が抗議、中国タンカーとの衝突リスク高まる
  • 2
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 3
    高さ330メートルの絶景と恐怖 「世界一高い屋外エレベーター」とは
  • 4
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ…
  • 5
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 6
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 8
    トランプを批判する「アメリカ出身のローマ教皇」レ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中