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映画『異端者の家』──脱出サイコスリラー主演、ヒュー・グラントが見せるイメージを覆す圧倒的な存在感

Moving to the Dark Side

2025年4月28日(月)09時42分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)
ヒュー・グラント

かつて「アメリカの恋人」と呼ばれたグラントだが、年齢を重ねた今はすっかり悪役が似合う俳優に PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY WARNER BROS., PARAMOUNT PICTURES, A24, HBO, AND STUDIO CANALーSLATE

<かつて「ロマンチック・コメディーの帝王」と称されたヒュー・グラントが、爽やかな笑顔を封印し猟奇的な怪しさをたたえて、新境地を切り開く>

布教活動は諸君の使命だが、男1人だけの家には絶対に立ち入るな。そう教えられていたのに、モルモン教の若き女性信徒2人は怪しげな年配男の誘惑に負け、彼の一軒家に足を踏み入れてしまった。

駄目だ、逃げろ! スクリーンを見つめる観客は、思わずそう叫びたくなる。スコット・ベックとブライアン・ウッズのコンビが監督・脚本を務めた映画『異端者の家』は、こうして幕を開ける。


でも、なぜ彼女たちは逃げない? 用意された答えは1つ。だって、その男がヒュー・グラントだから。

思えばデビュー当時から、グラントは欲望の対象だった。事実上のデビュー作『モーリス』(1987年)で演じたのは、まるで古代ギリシャの彫刻から抜け出てきたような顔立ちの美男子。主人公モーリスとのプラトニックな同性愛関係は悲しくも美しかった。

女性の欲望の対象となったのは94年の『フォー・ウェディング』が最初。このとき彼は「自分がヒュー・グラントみたいな美男子であることに気付いていない男」を巧みに演じるコツをつかんだ。99年の大ヒット作『ノッティングヒルの恋人』でも、グラントは「絶世の美女が自分に恋心を抱いている事実にほとんど気付かない男」に徹した。

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