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半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?

2024年12月9日(月)11時11分
磯田 道史 (歴史家) *PRESIDENT Onlineからの転載

6万~12万円の価値があった伊勢音頭の大踊り

伊勢参りの楽しみは、参拝ののちに、内宮と外宮の間にあった歓楽街「古市」での遊びであった。古市には見世物小屋や芝居小屋のほか、遊郭が軒を連ねており、多くの旅人が「精進落とし」と称して、古市を訪れた(寺社仏閣の参拝後に付近の色街で歓楽に耽ることを俗に「精進落とし」と言った)。


最盛期には遊女の数は1000人にも達し、江戸の吉原、京の島原と並んで江戸時代の三大遊郭と称されるほどの賑わいを見せたと伝わる。この古市で、特に有名なのが遊女たちによる伊勢音頭の大踊りである。

張見世のない古市の遊郭では、客が来ると遊女たちが出迎えて酒宴となり、三味線に合わせて歌や踊りを始めた。いわばこの踊りの輪が張見世の代わりとなり、それを見ながら客は相手を決めたのである。

伊勢音頭の見物は10人までが金1両、それ以上だと金2両となった。現代価格で言えば、6万3000〜12万6000円ほどの金額である。この踊りだけを観覧しに女性客も多数訪れたというから、その人気ぶりが窺える。


newsweekjp20241205104434-a89d5df854846d241d047571040d45dd09c2f128.jpg磯田道史監修『新版 江戸の家計簿』(宝島社)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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