最新記事

ドラマ

ロシア「元スパイ暗殺事件」の真相に迫る、戦慄のドラマ『リトビネンコ暗殺』

2022年12月23日(金)11時00分
西田嘉孝
『リトビネンコ暗殺』

『リトビネンコ暗殺』 (C) ITV Studios Limited All rights reserved.

<かつて世界を震撼させた現実の「ロシア人元スパイ暗殺事件」の真相に迫る『リトビネンコ暗殺』が、現在の国際情勢において重要な意味を持つ理由とは?>

東西冷戦に端を発する様々な陰謀論、その最たるものが数々の暗殺劇だろう。いくつものスパイ映画で描かれてきた「とある国による暗殺」が、実は我々の平穏な日常のすぐ傍で起きている──そうした事実を世界が知ることになった大きなきっかけが、2006年にロンドンで発生した「リトビネンコ事件」だ。

この年の11月、北ロンドンのバーネット病院に亡命イギリス人のエドウィン・カーターなる人物が入院する。当初は胃腸炎と診断されるも、症状はみるみる悪化。彼は医師に自らの症状が暗殺者によって毒を盛られたものだと主張する。

実はカーターの正体は、ロシアが関与したテロ事件の内幕を次々に暴露するなど、反ロシアの活動を行っていたKGB(ソ連国家保安委員会)、FSB(ロシア連邦保安庁)の元工作員アレクサンドル・"サーシャ"・リトビネンコだった。病院に呼ばれた刑事に彼がその身元を明かしたことから、「ロンドン警視庁史上最も複雑、かつ危険」といわた捜査がスタートする。

「殺人事件が起きた。被害者は私だ」「暗殺を指示したのはウラジーミル・プーチン」

スターチャンネルEXで12月22日(木)から独占日本配信されるノンフィクションドラマ『リトビネンコ暗殺』は、リトビネンコが刑事に発したそんな言葉から幕を開く。

リトビネンコの妻マリーナや、実際の事件の捜査関係者らが全面協力した本作が描くのは、「リトビネンコ暗殺の真相がいかに暴かれていったのか」だ。英国政府が暗殺にプーチンが関与したとの見解を出したのは、事件から10年が過ぎた2016年。怒涛の展開を見せる全4話のドラマでは、死の間際の事情聴取から、死因となった放射性物質ボロニウム210の特定、容疑者の追跡やロシア政府との息の詰まる駆け引きなど、歴史的事件の真相を追った10年間に及ぶ捜査の全貌が再現される。

『リトビネンコ暗殺』予告編


「ロシアの敵」への冷酷な攻撃の始まり

リトビネンコ役を演じるのは、『ドクター・フー』『80日間世界一周』のデヴィッド・テナント。マリーナ役を旧ソ連出身のアメリカ人女優マルガリータ・レヴィエヴァが熱演し、脚本には『Lupin/ルパン』などを手掛けたジョージ・ケイ、監督は『クリミナル』シリーズのジム・フィールド・スミスと、製作陣にも今注目すべきクリエイターが集った本作。

「ウラジーミル・プーチンがどのようにロシアを運営し、世界の舞台で地位を維持しているのか、その実態は非情であり、サーシャの死はその一例である」(ジム・フィールド・スミス)

「サーシャの殺害は、ロシア国家の敵と見なされる人物に対する一連の冷酷な攻撃の始まりであり、このことはかつてないほど重要な意味を持つ」(ジョージ・ケイ)

本国イギリスや日本の他、すでに80カ国以上での配信・放送が決定するなど、世界中で注目を集める『リトビネンコ暗殺』。今もなお巨大な権力を持つ指導者のいる国を中心に、世界情勢が迷走を続ける現代だからこそ見ておきたい、ノンフィクションドラマの傑作だ。

メインキャスト・スタッフが作品の見どころを語る特別映像


配信 「スターチャンネルEX」
字幕版:2022年12月22日(木)より独占日本配信中 ※毎週1話ずつ更新 ※第1話無料
吹替版:2023年1月19日(木)より配信開始 ※毎週1話ずつ更新
作品公式ページ https://www.star-ch.jp/drama/litvinenko/sid=1/p=t/

放送 「BS10スターチャンネル」
【STAR1 字幕版】2月6日(月)より 毎週月曜よる11:00ほか ※2月5日(日)吹替版 第1話 無料放送
【STAR3 吹替版】2月8日(水)より 毎週水曜よる10:00ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:好調スタートの米年末商戦、水面下で消費揺

ワールド

トルコ、ロ・ウにエネインフラの安全確保要請 黒海で

ワールド

マクロン氏、中国主席と会談 地政学・貿易・環境で協

ワールド

トルコ、ロシア産ガス契約を1年延長 対米投資も検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中