最新記事

映画

幻の旧ソ連版・映画『指輪物語』が、30年ぶりによみがえった

The Lost Ring Discovered

2021年4月22日(木)19時51分
ブレンダン・コール
テレビ映画『フラニテリ』

『フラニテリ』のYouTube公開は大反響を呼んだ YOUTUBE

<旧ソ連テレビ映画『フラニテリ』がYouTubeにアップされた。ファンたちは30年ぶりとなる「帰還」に歓呼の嵐>

J・R・R・トールキンの『指輪物語』。この有名なファンタジー3部作を基に旧ソ連時代に製作された「幻の作品」が30年ぶりに発見され、ファンを大喜びさせている。

3部作の第1部に基づくTV映画『フラニテリ(「所有者」「守護者」の意)』は、1991年にレニングラード・テレビジョン(現ロシアのチャンネル5)のスタジオで撮影。1回だけ放映されたきり行方が分からなくなり、熱心なファンが探していた。

だが探索は終わりだ。3月27日、チャンネル5がYouTubeに2部に分けてアップロード。1週間足らずで第1部・第2部共に再生回数は20万回を超えた。

ロシアのファンタジー・SF雑誌のサイトによれば「重要な展開は全て原作どおり。トム・ボンバディルも登場する」という。ピーター・ジャクソン監督で映画化されアカデミー賞で数々の賞に輝いた3部作ではカットされたキャラクターだ。

技術的な洗練度や映像の壮観さは、ニュージーランドで撮影されたジャクソン版の「中つ国」の描写には及ばない。それでも、視聴したユーザーからは感謝のコメントが殺到した。

「レニングラード・テレビジョンのアーカイブをデジタル化した担当者に感謝!」「オープニングの物悲しい歌を聴きながら、うれしくて笑い死にしかけた」「トールキン・ファン全員から、どうもありがとう!」「奇妙かつ奇怪にして神聖かつ壮大。特にオープニングの歌がいい。このレアものを見つけた人に感謝」

報道によれば、旧ソ連時代には1985年にトールキンの『ホビットの冒険』もTV映画化されたらしい。

小型スクリーンでの『指輪物語』の躍進は続く。アマゾンプライム・ビデオが(遺産管理者の)トールキンエステートと提携しTVシリーズ化を進めており、こちらは年内には完成予定だという。

30年前の「レアもの」から最新作まで、「指輪」ファンには最高の1年になりそうだ。

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領府長官が辞任へ、汚職疑惑が理由か 

ビジネス

米株式ファンド、6週ぶり売り越し

ビジネス

独インフレ率、11月は前年比2.6%上昇 2月以来

ワールド

外為・株式先物などの取引が再開、CMEで11時間超
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 10
    バイデンと同じ「戦犯」扱い...トランプの「バラ色の…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中