最新記事

人権問題

スウェーデン・ペンクラブ、中国で身柄拘束の作家に言論の自由賞 中国は猛反発

2019年11月18日(月)15時18分

中国共産党に批判的な本を扱っていた香港の書店経営者で、中国当局に拘束されている作家の桂民海氏にスウェーデンの文化団体が言論の自由をたたえる賞を贈った表彰式に同国のリンド文化相(写真)が出席したことから、中国が猛反発している。15日撮影。提供写真(2019年 ロイター/TT News Agency/Fredrik Sandberg)

中国共産党に批判的な本を扱っていた香港の書店経営者で、中国当局に拘束されている作家の桂民海氏にスウェーデンの文化団体が言論の自由をたたえる賞を贈り、表彰式に同国のリンド文化相が出席したことから、中国が猛反発している。

駐スウェーデン中国大使は、リンド文化相が16日の式典に出席すれば、中国への入国を禁じると警告していた。

表彰式に出席したリンド文化相は言論の自由を守る立場を主張。これを受けてストックホルムの中国大使館は同日、同相の式典出席は「重大な過ち」と非難する声明を発表した。中国への入国禁止措置には言及しなかったものの、「間違った行為は悪い結果を招くだけだ」と警告、「犯罪者に賞を贈ることはあからさまな政治的茶番だ」と批判した。

桂氏は中国共産党を批判する書籍を扱っていた香港の書店の経営者で、スウェーデンの国籍も持っている。2015年にタイで失踪。その後、中国での拘束が判明し、2017年10月に釈放されたが、3カ月後に北京に向かう列車の中で再び中国の工作員らによって拘束された。

賞を贈ったのは、言論の自由の擁護を掲げる団体「スウェーデン・ペンクラブ」。表彰式では、そこにいない受賞者を象徴する、誰も座っていない椅子が置かれていた。

スウェーデン外務省は16日、中国は桂民海氏を釈放すべきだというスウェーデンの立場は変わっていないとしたうえで、中国大使による警告について中国当局に問い合わせていることを明らかにした。

[ストックホルム/北京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大型減税法案可決をアピール アイオワ州

ワールド

IMF、スリランカ向け金融支援の4回目審査を承認

ビジネス

ドイツ銀、グローバル投資銀行部門で助言担当幹部の役

ビジネス

ドイツ自動車対米輸出、4・5両月とも減少 トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中