最新記事

デザイン

ハーバードの学生から渋谷への提案「雑居ビルで新しい働き方を」

2019年5月21日(火)18時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真は本文と関係ありません visualspace-iStock.

<ハーバード大学デザイン大学院の大学院生が3カ月間、日本に滞在して観察・リサーチし、専門家の講義を聴き、「渋谷の未来」を考えた。そこから出てきた提案は、渋谷だけに留まるものではない>

ハーバード大学は、言わずと知れた世界屈指の名門大学だ。1636年設立のアメリカ最古の大学であり、幅広い分野に優秀な人材を輩出している。これまでに8人のアメリカ大統領および48人のノーベル賞受賞者がいるほか、32人の元・留学生が母国で国家元首になっているらしい。

なかでもよく耳にするのがロースクール(法科大学院)とビジネススクール(経営大学院)だが、ハーバードには他にもさまざまな大学院がある。そのひとつがデザインスクールだ。デザインと言っても、グラフィックデザインなどの美術・芸術系ではない。日本語で言うならば「設計大学院」。

そのデザインスクールに在籍する現役学生が渋谷という街の未来を考えてみたら、これまで見えていなかった新しい渋谷の姿が見えてきた──それが『SHIBUYA! ハーバード大学院生が10年後の渋谷を考える』(ハーバード大学デザイン大学院/太田佳代子・著、CCCメディアハウス)だ。

短期留学し、その国の代表的な建築家から指導を受ける

ハーバード大学デザイン大学院は、法律・政治や経済と同様に、デザイン(設計)の分野で有能な人材を育成しようという機関で、1914年に設立された歴史ある大学院だ。

ここで言う「設計」とは、建築設計、都市計画、そしてランドスケープ(景観・造園)の3つのカテゴリーに分かれる。学生は、それらを自由に横断して学ぶことができるという。現代風に言えば「まちづくり」だが、それを20世紀初頭から大学院で教えているのだから、さすがハーバード。

幕張メッセや東京体育館、六本木ヒルズのテレビ朝日を設計した槇文彦氏や、ニューヨーク近代美術館の新館やGINZA SIXを手がけた谷口吉生氏など、日本を代表する建築家もここで学んでいる。「世界のタンゲ」として知られる丹下健三の歴史的アーカイブも、同大学院が管理しているそうだ。

そんなハーバード大学デザイン大学院では、2012年から、秋学期(9〜12月)のまるまる1学期(3カ月強)を使って学生たちをアメリカ国外に短期留学させ、その国の代表的な建築家から直接指導を受けさせる、という海外研修プログラムを行っている。

日本(東京)も当然、研修先のひとつだ。ハーバードが招聘した教授は、「建築界のノーベル賞」と言われるプリツカー賞を2013年に受賞した伊東豊雄氏。そのほか一流の講師陣のもと、建築設計や構造設計、デジタル技術や新素材を使った設計などが教えられるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中