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3歳の子を虐待死させた親の公判を、傍聴席から、そのまま提示する

2018年5月25日(金)16時10分
印南敦史(作家、書評家)


 3歳の我が子をウサギ用のケージに閉じ込め、タオルを猿ぐつわのように巻き付けて死なせたとして、両親が逮捕された。一家は7人の子に恵まれた大家族。母親は法廷で「子どもが好きだった」と話したのだが――。

 2016年2月25日、東京地裁713号法廷。父親(31)と母親(29)は、ともに黒いジャージー姿で現れた。

 父親「やったことと死亡の因果関係はわかりません」
 母親「(父親が)口をふさいだことは知りませんでした」

 二人の起訴内容は、12年12月〜13年3月、当時3歳の次男をウサギ用のケージに監禁し、口をタオルでふさいで死なせ、遺体を遺棄したというもの。初公判で二人は監禁や遺体を捨てたことは認めたが、死亡との因果関係は争う姿勢を示した。(32~33ページ「ラビットケージに消えた悲鳴」より)

この事件も父親と母親が罪のなすり合いをしており不快な事件だが、むしろ彼らは例外の部類であり、本書に登場する被告の大半は「普通の人」が多い。それが逆に、人間の哀しさ、恐ろしさを言い表している。

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『きょうも傍聴席にいます』
 朝日新聞社会部 著
 幻冬舎新書

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。新刊『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。

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