最新記事

ハリウッド映画化

SF漫画『銃夢』のハリウッド映画化が本格始動――原作者・木城ゆきと氏に聞く

ジェームズ・キャメロン製作、ロバート・ロドリゲス監督の強力布陣に高まる期待

2015年12月14日(月)15時30分
高森郁哉(翻訳者、ライター)

漫画『銃夢』が映画化 ロバート・ロドリゲス監督によって、SF漫画『銃夢』が映画化されることになった Mario Anzuoni - REUTERS

 世界歴代映画興行収入の1位『アバター』と同2位『タイタニック』を監督し、SFアドベンチャーとスペクタクルドラマを極めた巨匠ジェームズ・キャメロンが惚れ込み、映画化権を獲得した日本のSF漫画があるのをご存知だろうか。それが、「ビジネスジャンプ」(集英社)で1990年から1995年にかけて連載された、木城ゆきと作のSFサイバーアクション『銃夢』だ。

 未来の世界、巨大な空中都市ザレムの真下で、ザレムから排出されるスクラップを再利用して人々が生きる「クズ鉄町」が舞台。サイボーグ専門医のイドが、スクラップの山から半壊状態で記憶喪失のサイボーグ少女を発見し、失われていたボディーパーツを取り付け、ガリィと名づけて育てる。ガリィはやがて、凶悪犯罪者を狩り賞金を稼ぐハンターウォリアーとなり、次々に現れる強敵と闘いながら、徐々に記憶を取り戻していく――。

 『銃夢』の壮大な世界観は、続編『銃夢 LastOrder』(集英社「ウルトラジャンプ」で2000〜2011年、講談社「イブニング」で2011〜2014年連載)、シリーズ最終章『銃夢火星戦記』(「イブニング」で2014年から連載中)へ引き継がれている。『銃夢』は海外での人気も高く、ゆきと氏の実弟でアシスタントを務める木城ツトム氏によると、まず英語版『Battle Angel Alita』の出版が1992年頃から始まり、おそらく8カ国以上で外国語版が発行されたという。

 キャメロンによる映画化権の獲得は、後述のゆきと氏自身のコメントにあるように、2000年頃のこと。だがその後、進展についてのニュースはほとんどなかった。2009年に『アバター』のプロモーションでプロデューサーのジョン・ランドー(キャメロン作品の製作会社ライトストーム・エンタテインメントに所属する、キャメロンの長年の盟友)が来日した際、筆者は別媒体の取材で『銃夢』映画化の進捗について質問したが、「公開日に関してはまだお知らせできない」「近い将来に完成させることができれば」というあいまいな回答しか得られなかった。

 しかしここに来てようやく、プロジェクトが本格的に動き出したようだ。米バラエティは10月の記事で、20世紀フォックスがキャメロンとランドーを『銃夢』実写映画の製作陣に据え、『デスペラード』『シン・シティ』などで知られるロバート・ロドリゲス監督にメガホンを取らせることを決めたと報じた。キャメロンは現在『アバター』続編3作のプリプロダクションに入っているといい、『銃夢』映画化を進めるには信頼できる他の監督を雇うのが現実的な判断だろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中