最新記事

ハリウッド

この夏はクーガー女が熱い

映画でも現実でもセクシー熟女と若い男性の年の差ロマンスが花盛り。メディアがつくり出した一過性のブームに過ぎないのか?

2009年8月5日(水)15時05分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

熟女パワー サンドラ・ブロックが年下男に恋をする『あなたは私の婿になる』 ©Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved.

 サンドラ・ブロックは恋多き女だ。あるときはFBI捜査官となり、いつの間にか同僚とベッドイン(『デンジャラス・ビューティー』)。あるときは弁護士になり、イギリス人のボスに引かれていく(『トゥー・ウィークス・ノーティス』)。昏睡状態に陥った男性の婚約者に間違われたのをきっかけに、その弟と結婚したこともある(『あなたが寝てる間に...』)。

 新作の『あなたは私の婿になる』(日本公開は10月)も、似たようなロマンチックコメディーだ。ブロックの役はカナダ人の編集者。アメリカの労働ビザの期限を延長するために、部下と偽装婚約する。

 しかし、この映画には新しいひねりがある。相手役のライアン・レイノルズは32歳。44歳のブロックよりひと回り下なのだ。

 脚本は年齢にはまったく触れていないし、映画会社も年の差ロマンスを強調していない。それどころか、ブロックはこの作品で初めてヌードを披露している。「私って、まだまだイケるでしょ」と言わんばかりに。

 これまでハリウッドでは、40歳を過ぎた女優は「老人ホーム行き」だった。その一方で、ショーン・コネリーのような熟年男優は、娘ほど年の離れた女性を口説く役柄を与えられ続けていた。

 空気が変わり始めたのは、テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』などで、若くないヒロインたちが注目を集めてからだ。テレビ局はサリー・フィールドやグレン・クローズといった熟女たちを次々と起用した。

「肉食系」女性は実在のトレンド

 いまアメリカでは「クーガー女」が話題を集めている。年下の男性を狙い撃ちする30代後半から40代の「肉食系」女性のことだが、どうやらスクリーンにもクーガー女の時代が来たらしい。

 ミシェル・ファイファー(51)は新作『シェリ』で、親子ほど年の離れたルパート・フレンドと恋のドラマを繰り広げる。『マイ・ライフ・イン・ルインズ』ではニア・バルダロス(46)が、34歳のアレクシス・ゲオゴーリスと恋に落ちる。

 メリル・ストリープ(この6月で60歳!)は、料理研究家ジュリア・チャイルドの伝記映画『ジュリー&ジュリア』で、スタンリー・トゥッチ(49)と夫婦役を演じる。アメリカで9月に公開される『リバウンド』では、39歳のキャサリン・ゼタ・ジョーンズが25歳の男性と付き合う。

 テレビでもクーガー女が暴れまくる。9月には、コートニー・コックス主演のドラマ『クーガータウン』がスタート。20代の男たちが40代の女性を奪い合うリアリティー番組『ザ・クーガー』も人気を集めている。

 ここまでくると、実生活で16歳年下の男優と結婚したデミ・ムーアも影が薄くなってくる。しかし、「クーガー女映画」のラッシュはブームに便乗した結果ではないと、ハリウッド関係者は言う。「そういう現象があるという話は知っているが、脚本が気に入っただけ」と、『シェリ』のスティーブン・フリアーズ監督は言う。

 それでも、美容整形やボトックス注射が手軽に受けられる今、女性がその気になればいつまでも若くいられるのは確かだ。熟女と若い男がスクリーンでラブロマンスを演じても、それほど違和感があるわけではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国

ワールド

ロシア中銀が0.5%利下げ、政策金利16% プーチ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中