「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗り越えてきた奇跡と「様相が一変した」理由
1. 衰退産業からの人材受け入れ
2. 女性の労働参加
3. 高齢者の就業継続
1の「衰退産業」には「工場の海外移転が続いた製造業」「公共事業予算の削減で縮小した建設業」「規模集約による効率化や輸入への依存が強まった農業」の3産業が入ります。製造業は約400万人、建設業が約200万人、そして農業が約150万人と3産業トータルで800万人近くの人材が他産業へ供給されました。
続いて2の女性と3の高齢者ですが、こちらは非正規雇用での受け入れが中心となりました。1996年から2020年までの間に女性が約600万人、高齢者は約500万人も就業者を増やしています(女性・高齢者での重複カウントが含まれる)。
その結果日本は、生産年齢人口が減る中で、総就業者数は逆に増えていたのです。ただ、こうした過去の労働力補填の成功が色濃く記憶に残るため、日本の企業はこれから迎える絶望的な人材不足に対しても、甘く考えている傾向があります。
ここではっきりと書いておきます。
1995年から続いてきたこの労働シフトは、もう全く通用しない時代になりました。

衰退産業からの流出は底打ち反転し、人材不足に悩む
まず、衰退産業の就業者数(図表⑨)をご覧ください。3産業とも、とうの昔に就業者数が底を打ち、昨今は横ばいからやや増加に転じています。





