NVIDIA5兆ドル突破の陰で、賢人バフェットが見据えた「検索・広告」の強さ
Buffett’s Big Bet
バフェット(上)率いる投資会社はアルファベット株を新規に取得 SCOTT MORGANーREUTERS
<世界を席巻するNVIDIAが最高売上を更新する一方、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイはAlphabetへの新規投資を決めた>
市場予想を上回る数字だった。米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は11月19日、8~10月期決算を発表し、売上高は570億600万ドルと、四半期ベースで過去最高。AI(人工知能)バブル崩壊が懸念されるなか、投資家は一安心したかもしれない。
エヌビディアは今や世界時価総額首位だ。10月29日に世界で初めて5兆ドルを突破し、アルファベット(グーグルの親会社)やアップルを超えた。
だが95歳の「賢人」ウォーレン・バフェットが率いる米投資会社、バークシャー・ハサウェイが投資先に選んだのは、意外にもアルファベットだ。AI時代に利益を得る能力があるのは、グーグルだと判断したことを示唆している。
11月半ばに提出された報告書によれば、バークシャーは今年第3四半期にアルファベット株を新規に取得。9月末時点で約43億ドル相当の株式を保有している。この大規模投資は戦略的決断の表れだろう。
バフェットは今年末でバークシャーCEO(最高経営責任者)を退任する。アナリストに言わせれば、アルファベット投資は、デジタル経済における持続的利益のありかについて言い残したヒントだ。
とはいえ、バフェットはテクノロジー企業については懐疑的で、判断を誤ることでも知られる。ソフトバンクグループや米投資家ピーター・ティールの傘下のヘッジファンドが、保有するエヌビディア株を全て売却したことが明らかになるなか、バフェットはブームに乗り遅れたのか......。
グーグルならではの力
そうした見方は、バフェットの投資哲学とグーグルの事業の本質を誤解している。バフェットは従来どおり、持続力のある競争優位性という観点からグーグルに着目した。
グーグルが検索エンジン戦争を制したのは、検索コスト(信頼できる情報の取得にかかる時間と労力)削減と法への対応で突出していたからだ。
その検索エンジンは革命的だったが、真に革新的なのはビジネスモデルだ。検索を無料にし、検索連動型広告をオークション制にした。グーグルの広告事業は今や、アルファベットの巨額の収入源だ。
だが道のりは楽ではなく、著作権や商標権をめぐる動きをくぐり抜け、規制当局の監視の目をかわし、自社のブランドをスキャンダルから守る必要があった。生成AIが検索の在り方を変え、知的財産保護への意識が新たに募るなか、この能力はライバルには簡単にまねできない強みだと、バークシャーはみたのだろう。
バフェットの慧眼はAIバブルがはじけた場合を見据えている点にある。消費者にサービスを提供するグーグルやアップルはバブル崩壊を切り抜けるだろう。グーグルの広告事業は08年世界金融危機も、コロナ禍による20年の株価大暴落も乗り切った。対照的に、エヌビディアのような新興勢力は逆境に弱い可能性がある。
若年層が検索エンジンより、AIやソーシャルメディアで情報を得ている今、グーグルブランド自体が時代遅れになる恐れは否定できない。それでもグーグルには、オンライン広告という金脈と商用インターネット誕生期から培った経験、自社プラットフォームを駆使して新たな習慣を生み出す能力がある。バフェットの投資は判断ミスとは程遠い。
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Cameron Shackell, Adjunct Fellow, Centre for Policy Futures, The University of Queensland
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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