最新記事
文章術

ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン脳」...学校も手をこまねく問題は「書くこと」で防げる

2024年4月19日(金)10時14分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン脳」…学校も手をこまねく問題は「書くこと」で防げる

Hakase_-istock

<3~4行といった短い文章さえも上手に書けなくなる「ポップコーン脳」とは何か。デジタル時代にこそロジカルに「書く力」が重要な理由について>

ハーバード大学で150年以上も受け継がれているライティングメソッドから生まれた「オレオ公式」。

書くことが苦手な人でも「オレオ公式」を知れば、論理的かつ説得力のある「伝わる文章」の達人になれる。

作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)の「序章 ハーバード・キッズの誕生」より一部抜粋。

◇ ◇ ◇

日本の大学入試においても、知識自体を問う問題ではなく、知識を活用する能力を評価する記述式の問題が導入されています。

たとえば、親子の会話の内容と両者の言い分を説明した文章を読み、自分の考えを80〜120字で書くといったものです。

それまでの日本の教育といえば典型的な詰め込み式だったので、この変化には大いに驚かされました。

このように、教育現場が劇的に変化を遂げているその真ん中に、ライティング力があります。近い将来、ロジカルな思考力は必須能力となります。それを伸ばすライティング力強化の重要性を再認識した事例でした。

子どもの「ポップコーン脳」化を防げ

「第4次産業革命に対応する短期戦略と適応力は、逆説的に考えると、長期を見据えた基本的な実力から生み出されるものだ。つまり、世の中がどう変わろうとも、求められる真の競争力は人間の考える力、いわば『基礎知力』がカギを握ることに違いはない」

韓国科学技術院(KAIST)のチョン・ジェスン教授が、あるインタビューで述べた言葉です。

チョン教授は、基礎知力をつけるために、ロジカルな推論やコンテクストの理解に加え、批判的思考、創造的思考などをベースに問題を解決していく力を育てるべきだとしています。

ならば、子どもの問題解決力を育てるにはどうすべきなのでしょうか? 

AIが将来的に子どもたちの食い扶持を奪うと危惧する声も多い中、一方で子どもたちは今、目の前にあるゲームやインターネットに熱狂しています。

こうしたデジタル生活が、子どもたちの大事な脳を刺激的なことにしか反応できない「ポップコーン脳」に退化させているという研究発表があります。

ポップコーン脳は長文を読み取る力がなく、3行4行といった短い文章さえうまく書けません。フェイクニュースに振り回され、指先で拾ったネットの情報や知識を自分の考えと混同します。

こうした子どもたちが増えるにつけ、保護者や指導者たちは子どもの思考力強化に早急に乗り出すべきと感じながらも、どうすべきか手をこまねいています。塾などの外部に丸投げするか、お手上げだとさじを投げるかのどちらかという由々しき状況です。

保護者や教育者が、この本で述べているライティングの効果について一刻も早く気づき、手を打ってくださることを願っています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民に避難指示 高層ビル爆撃

ワールド

トランプ氏、「ハマスと踏み込んだ交渉」 人質全員の

ワールド

アングル:欧州の防衛技術産業、退役軍人率いるスター

ワールド

アングル:米法科大学院の志願者増加、背景にトランプ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 8
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 9
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨッ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中