あなたを閉塞感から救ってくれる? 猫に学ぶ生き方から、多様性の時代の哲学まで...いまオススメの本
業界のガンと言われた会社の復活劇
『100年企業のすごすぎる製紙工場』
著者:里和永一
出版社:あさ出版
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今年で創業100年を迎える鶴見製紙は、再生紙100%のトイレットペーパーを製造し、街中にある小さな本社工場には、毎年多くの工場見学者が訪れる、知る人ぞ知る製紙会社です。
ただ、そんな鶴見製紙もかつては、工場はボロボロで人も定着せず、品質の悪いトイレットペーパーを作っては叩き売る毎日。周囲からは業界のガンとまで言われる会社でした。
そんな会社がなぜ、毎年新卒採用も行い、業界屈指のIT化を成し遂げ、業界トップクラスの売上を誇るまでに変われたのか?
本書は、鶴見製紙が人にも環境にもやさしい究極のエコ工場を目指して業務改善に取り組んできた歴史と、社員の働く環境を整備する驚きのしくみを紹介します。
「社員への価値観教育」「やる気を引き出す評価制度」「社内コミュニケーションの改善方法」など、鶴見製紙が行っている様々な業務改善の工夫は、製紙業界にかかわらず、多くの中小企業が真似したいものばかり。ぜひご一読ください。
(あさ出版 編集部 財津勝幸)
社会の閉塞感を考える対談集
『多様性の時代を生きるための哲学』
著者:鹿島茂、東浩紀、ブレイディみかこ、千葉雅也、
ドミニク・チェン、宇野重規、石井洋二郎
出版社:祥伝社
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書評サイト「ALL REVIEWS」を主宰する鹿島茂さんが6人の論客を迎え、現代哲学・思想、社会学、政治学の視点から、この社会の「閉塞感」を考える対談集です。各回の課題図書には6人の論客の方々の自著を選び、話を掘り下げていきます。書籍化に際し、対談の原稿を再構成し、大幅な加筆修正を加えました。
ブレイディみかこさんは「アナキズム」がテーマ。「アナキズムの核心には、『自主自立』と並んで『相互扶助』という感性があると思います。それが日本では忘れられていた気がする」と指摘します。千葉雅也さんはドゥルーズを中心に考察しますが、「私」を「時間的存在としての私」ととらえることで他者に開かれた自分でいられるという話は、実生活と結びつけて理解しやすい。
宇野重規さんはトクヴィルを中心に語りつつ「投票制度はまだまだ面白くできる余地がある」と述べます。石井洋二郎さんは「私」を論じた社会学者ブルデューを丁寧に解説。格差社会だからこそブルデューを読みたい方へ格好の入門となりました。ドミニク・チェンさんは「情報」について、東浩紀さんは「考える」ヒントを与えてくれます。まさに"今読むべき"現代思想・哲学の入門書として最適な一冊。おすすめです。
祥伝社 書籍編集部 栗原和子