最新記事

教養

輪廻転生=ゲーム理論? 仏教の教えは極めて合理的だった...教養で世界の見え方が変わる

2022年11月11日(金)17時51分
flier編集部
野村高文氏

野村高文氏(本人提供)

<幅広い教養を持つことで、自分の視点と他人の常識が見えてくる。学問に触れることの重要性を、『視点という教養』共著者・野村高文氏に聞く>

各界のトップランナーに読書に関する取材を重ね、自身も書籍編集やラジオでの書評コンテンツに携わってきた、音声プロデューサーの野村高文さん。音声コンテンツのさらなる可能性を探求しようと、2022年にPodcastレーベル「Chronicle(クロニクル)」を立ち上げました。

そんな野村さんは、歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO(コテンラジオ)でおなじみ、株式会社COTEN代表取締役・深井龍之介さんとの共著『視点という教養』を出版されました。本書にどんなメッセージをこめたのでしょうか? 野村さん自身がリベラルアーツを学ぶ面白さを実感した原体験にも迫ります。

※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

◇ ◇ ◇


なぜ、いま、多様な「視点」を得ることが大切なのか?

「a scope ~リベラルアーツで世界を視る目が変わる~」というPodcastを始めたきっかけは、深井龍之介さんが「歴史だけでなく、さまざまな学問を視野に入れたい」という構想を語ってくれたことです。私が当時ちょうどNewsPicksで音声事業をしていたこともあり、すぐに新しいPodcastをはじめよう、と意気投合しました。物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学。各界の専門家との対談は非常にワクワクするもので、それを書籍化したのが『視点という教養』です。

変化が激しい時代では、自分にとっての常識がいつのまにか世の中の常識とずれていってしまう。それによって、他者を傷つけるおそれもある。私にはそんな課題意識がありました。常識とのずれに気づくためには、自分の視点は、数ある中の一つであって絶対的なものではないと認識する必要があります。だからこそ、他者のもつ多様な視点を知ることが大切だと感じていました。

他者の視点を知るうえで、さまざまな学問にふれることは有用です。学問は人類が連綿と英知を受け継ぎ、セオリー化したものです。さまざまな学問にふれて、そのフィルターを通すことで、見える世界が変わる。それにより他者の視点を学びやすくなります。

221111fl_nmq02.jpg

視点という教養
 著者:深井龍之介、野村高文
 出版社:イースト・プレス
 要約を読む

仏教はきわめてロジカル? 輪廻転生をゲーム理論で解説

どの専門家との対談も非常に面白かったのですが、特に印象深かったものを1つあげるとしたら、実験寺院寳幢寺・僧院長の松波龍源さんに登場いただいた、仏教学です。反響も特に大きかったですね。

驚いたのは、仏教の思想体系が実にロジカルにできていること。しかも、社会科学が仏教の真理を裏づける状態になっています。

たとえば、ガウタマ・シッダールタはなぜ輪廻転生を説いたのか。これはゲーム理論の「囚人のジレンマ」で説明がつく、と龍源さんは説きます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ホリデーシーズンの売上高は約4%増=ビザとマスタ

ビジネス

スペイン、ドイツの輸出先トップ10に復帰へ 経済成

ビジネス

ノボノルディスク株が7.5%急騰、米当局が肥満症治

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中