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ユーロが20年ぶりに対ドル等価割れ その意味合いと今後の展開

2022年7月14日(木)10時37分

ECBへの影響は

等価割れするほどのユーロ安はECBにとって非常に頭の痛い問題だ。このまま値下がりを放置すれば、過去最高の伸びとなっている物価上昇率がさらに上振れ、ECBが目標とする2%よりもずっと高い場所に定着しかねない。

しかしユーロを押し上げるには、もっと急速な利上げが求められ、ただでさえリセッションの影がちらつくユーロ圏経済をもっと悪化させてしまう恐れが出てくる。

ECBが頻繁に引用する調査分析によると、為替レートが1%下落すると物価上昇率は向こう1年で0.1%、向こう3年で最大0.25%切り上がるという。

介入はあるか

ECBは今のところユーロ安をそれほど深刻視せず、幅広い物価情勢を検討する上で為替が大事だとしても特定の水準を目標にはしないと主張している。

ユーロは対ドルで年初から約12%下がった半面、貿易相手の通貨バスケットに対する実効レートは3.6%の下落にとどまる。

ECBとしては、ユーロてこ入れのためにより前のめりの金融引き締めを示唆し、9月の50bp利上げや、10月と12月の追加利上げなどに言及するかもしれない。

ただアナリストは、経済見通しの悪化を踏まえるとECBがタカ派姿勢を強める公算は乏しいとみている。

[ロイター]


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