最新記事

貿易

世界のサプライチェーンに光明射すもコロナ前への回帰は期待薄

2022年2月15日(火)12時12分
ロサンゼルスの港に積みあがったコンテナ

世界のサプライチェーン(供給網)危機が、今年末ごろにようやく解消に向かいそうな兆しが出てきた。写真はロサンゼルスの港に積みあがったコンテナ。2021年11月撮影(2022年 ロイター/Mike Blake)

世界のサプライチェーン(供給網)危機が、今年末ごろにようやく解消に向かいそうな兆しが出てきた。しかし、目詰まりはあまりに激しく、一部の産業では「辛うじて正常」な状態に戻るのさえ来年の遅い時期になりそうだ。しかも、コロナ禍によって新たな混乱が生じないことが条件になる。

米食品大手・ケロッグのスティーブ・カヒレーン最高経営責任者(CEO)は「今年後半には人手不足、ボトルネック、サプライチェーン全体を現在見舞っている混乱が、徐々に和らぎ始めると期待している」と話す。同時に「混乱があまりにも劇的なので、2024年までは正常と言えるような環境には戻らないだろう」と付け加えた。

世界の貿易システムにとって、コロナ禍のような事態は初めての経験だった。

2020年当初、景気悪化に見舞われた企業は向こう1年間の生産計画を撤回した。ところが、その後にワクチンの急速な普及と景気刺激策の効果によって需要が上向くという不意打ちを食らった。

さらに、新型コロナウイルス感染防止のための制限措置と集団感染によって人手不足が生じ、工場が閉鎖を余儀なくされた。これは消費がサービスからモノに移行するタイミングと重なった。

欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストはこの状況を、第2次世界大戦後になぞらえている。当時も需要が爆発的に伸び、企業は軍事物資から民生品の製造へと体制の急転換を迫られた。

今回、ドイツなどの輸出主導型経済は工場の供給ボトルネックが景気回復を阻む要因となった。一方、米国は輸送コストの急上昇と燃料価格の高騰が重なり、40年ぶりの高インフレに見舞われた。

まだら模様

現在、新型コロナのオミクロン株が従来株に比べて重症化を引き起こしにくいとして、各国当局が制限を緩めたため、供給問題が解消に向かいそうな兆候が垣間見えている。

米サプライマネジメント協会(ISM)の1月調査では、雇用と入荷状況が3カ月連続で改善。IHSマークイットが発表する製造業購買担当者景気指数(PMI)では、欧州でも供給制約が和らいでいることが示された。

IHSマークイットは、英国の調査について「相変わらずサプライチェーンの制約が成長を阻害し続けているが、峠は越えた兆しがある。このことが購入価格インフレのわずかな緩和につながっている」と説明した。

このため各国中銀は、年末に向けてインフレ圧力が目に見えて低下するとの期待を抱くようになった。中銀は一方で、実体経済がまだら模様のメッセージを発し続けていることも分かっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 9
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中